マンション売却に強い不動産会社はどう見分ける?
- 2021.07.07
- 不動産会社・売却方法
マンション売却に強い不動産会社は、会社の知名度や取引件数、査定価格の高さだけでは判断できません。確認したいのは、中古マンションの仲介売却経験、対象地域・類似マンションへの理解、査定価格の根拠、今回のマンションに合った販売方針と販売の仕組みです。大手か地域密着かも規模だけで決めず、「このマンションを誰に、どう売るのか」を具体化でき、売主の期限や目的に合わせて計画を組み立てられる会社を候補に残します。
| 確認項目 | 何を見るか | 判断するときの注意 |
|---|---|---|
| マンション売却経験 | 中古マンションの仲介売却を扱っているか | 会社全体の総取引件数だけで判断しない |
| 地域・類似実績 | 同じ地域・駅・類似マンションの経験 | 同じマンションの実績がないだけで除外しない |
| 査定根拠 | 成約事例・住戸条件・現在の競合物件 | 査定価格の高さを会社の順位にしない |
| 販売戦略 | 誰に、何を強みとして、どう売るか | 「高く売る」だけの抽象的な説明で終わっていないか |
| 販売の仕組み | 物件情報を届け、反応を把握する経路と体制 | 広告媒体や店舗の数だけで判断しない |
| 売却計画 | 売主の期限・目的を踏まえた進め方 | 会社側の都合だけの計画になっていないか |
マンション売却に強い会社は「今回どう売るか」で見る
ここでいう「マンション売却に強い会社」とは、単純に会社全体の取引件数が多い会社ではありません。対象マンションに近い売却経験や地域情報を持ち、査定価格の根拠を説明でき、現在の市場に合わせた販売方針を組み立てられる会社と考えます。
会社名や規模は背景情報にはなりますが、それだけでは今回のマンションとの相性はわかりません。候補を絞るときは、上の6項目を「自分のマンションにどう当てはめて説明しているか」で比較します。
売却実績は件数より「何の実績か」を確認する
会社の公式サイトに取扱件数や成約事例が掲載されていても、数字の定義は同じとは限りません。土地・一戸建てを含むのか、売却仲介と購入仲介の両方なのか、全国の全店舗を合計した数字なのかによって、自分の中古マンション売却との関連性は変わります。
- 対象期間と対象地域
- 会社全体か、実際に担当する店舗・部署か
- マンションだけか、土地・一戸建ても含むか
- 売却仲介か、購入仲介や買取も含むか
- 契約件数・取扱件数・取扱高のどれか
異なる定義の数字を、そのまま横並びにして優劣を決めないことが重要です。ホームページの掲載数が少なくても、非公開の実績がある場合があります。公式サイトの情報と、査定・相談時の具体的な説明を組み合わせて確認します。
同じマンションの売却経験は「どう使うか」まで聞く
同じマンションや近隣マンションの売却経験があれば、過去の成約事例、購入希望者が評価しやすい点、管理状況、周辺の競合物件などを理解している可能性があります。ただし、過去の実績が古かったり、所在階・方角・専有面積・室内状態が異なったりすれば、その経験を今回へそのまま当てはめることはできません。
「売ったことがありますか?」で終わらせず、「その経験を今回の査定や販売方針へどう使いますか?」まで確認します。同じマンションの実績がなくても、現在の成約事例や競合物件を調べ、合理的な販売方針を示せる会社なら候補になります。
査定価格ではなく、根拠と販売戦略を確認する
査定価格は会社を見る材料の1つですが、金額そのものを会社選びの順位にはしません。たとえばA社4,200万円、B社4,450万円、C社4,700万円でも、C社が最も売却に強いとは限りません。一方、最も低いA社が最も現実的・誠実とも判断できません。
確認したいのは、どの成約事例を参考にしたか、住戸条件をどう評価したか、現在の競合物件をどう見ているかです。さらに、どのような購入希望者を想定し、何を物件の強みとして伝え、どのように市場へ情報を出すのかまでつながっているかを見ます。
査定結果そのものを詳しく比較する場合は、不動産会社によって査定価格が違う理由と比較方法で確認できます。
販売力は「届ける・反応を見る・調整する」の仕組み
販売力は、会社の大きさや広告費の多さと同じ意味ではありません。ここでは、購入希望者へ物件情報を届け、反応を把握し、必要に応じて販売方針を調整できる仕組みとして考えます。
- どのような購入希望者を想定しているか
- REINS(レインズ)、不動産ポータル、自社サイト、既存顧客、店舗間連携などをどう使うか
- 物件の強みをどのように見せるか
- 問い合わせや内覧等の反応を何で確認するか
- 反応が弱い場合、何を確認して次の方針を考えるか
媒体数が多ければ売れるわけではありません。「このマンションを誰へ、どのように知らせるのか」を具体的に説明できるかが比較材料です。
売主の条件を販売計画に反映できるか
販売方針は物件だけでなく、売主の条件にも合わせる必要があります。価格を優先するのか、期限を優先するのか、住み替え予定や住宅ローン残債があるのか、内覧対応できる曜日が限られるのかによって、現実的な進め方は変わります。会社側の標準的な売り方を当てはめるだけでなく、売主の条件を踏まえて販売体制や進行を組み立てられるかを確認します。
大手か地域密着かは、会社規模だけで決めない
| 視点 | 大手で確認 | 地域密着会社で確認 |
|---|---|---|
| 地域・類似実績 | 会社全体ではなく、担当店舗・部署での経験 | 地域実績のなかで中古マンションをどの程度扱っているか |
| 情報網・販売体制 | 店舗・支店・顧客基盤を今回どう使うか | 地域の購入需要や情報発信を今回どう生かすか |
| 査定根拠 | 対象マンションと現在の市場に即した説明か | 対象マンションと現在の市場に即した説明か |
| 販売戦略 | 今回のマンションを誰にどう売るか | 今回のマンションを誰にどう売るか |
大手には複数拠点や広い顧客基盤、整備された社内体制を持つ会社があります。地域密着会社には、特定地域で継続的に営業し、周辺事情や購入需要を詳しく把握している会社があります。ただし、いずれもあくまで可能性です。大手だから対象地域に強い、地域密着だから地域に必ず詳しい、とは判断できません。
査定・相談時は6つの質問で会社の説明を具体化する
| 質問 | 回答のどこを見るか |
|---|---|
| この地域の中古マンションを最近どのように扱っていますか? | 地域とマンション売却の経験が具体的か |
| このマンションや近い条件のマンションを売却した経験はありますか? | 類似物件との共通点・違いまで説明できるか |
| 今回の査定で特に参考にした成約事例は何ですか? | 査定価格と市場認識に具体的な根拠があるか |
| どのような購入希望者を想定していますか? | 購入需要を具体的にイメージしているか |
| このマンションの情報を、どのように購入希望者へ届けますか? | 販売経路と物件の見せ方がつながっているか |
| 販売開始後は、どのような反応を見て方針を考えますか? | 販売後の反応を把握し、調整する仕組みがあるか |
3社を比べると、会社規模より説明内容が見えてくる
売却予定のマンションを「築15年・駅徒歩7分・70㎡・4,000万円台を想定」とします。以下はすべて架空の例です。
| 会社 | 確認できた内容 | 判断 |
|---|---|---|
| A社 | 全国規模の大手。担当店舗で近隣マンションの売却経験があり、類似成約事例と販売方針を具体的に説明 | 候補に残せる |
| B社 | 地域密着会社。総取扱件数はA社より少ないが、同地域・同程度のマンションの成約経験と現在の競合物件を具体的に説明 | 候補に残せる |
| C社 | 取扱件数の多さを強調する一方、対象地域・類似マンションの説明が少なく、販売方針も「広告をたくさん出す」が中心 | 追加説明を求めて判断 |
この例では、大手のA社と地域密着のB社のどちらかを会社規模だけで決めることはできません。どちらも、対象マンションとの関連性と販売方針を具体的に説明できているため候補になります。C社も1つの説明不足だけで即除外せず、実績の内容や販売方法を追加で確認してから判断します。
候補に残す会社は6項目を順番に確認する
マンション売却経験
↓
対象地域・類似物件への理解
↓
査定価格の根拠
↓
今回に合った販売戦略
↓
販売するための仕組み
↓
売主の条件に合わせた売却計画
すべてに一律の合格点を付ける必要はありません。1項目の説明が弱ければ追加質問し、補えるかを確認します。そのうえで、今回のマンションとの関連性が高く、根拠と販売方針が具体的な会社を候補に残します。
不動産会社を候補に残す前の確認
- □ 中古マンションの仲介売却経験を確認した
- □ 公表実績が「何を数えた数字か」を確認した
- □ 対象地域・類似マンションへの理解を確認した
- □ 査定価格を金額だけでなく根拠から確認した
- □ 想定する購入希望者と販売方針を確認した
- □ 情報を届け、反応を把握する仕組みを確認した
- □ 自分の期限・目的に合う売却計画か確認した
- □ 大手・地域密着という会社規模だけで決めていない
候補会社を絞ったら、次は実際に売却を担当する人物を確認します。会社としての実績や仕組みがよくても、担当者の説明や提案は別に見ておく必要があります。
まだ比較する会社が1社もない場合は、複数の不動産会社へ査定・相談し、比較材料を集める方法があります。一括査定はその手段の1つです。仕組みや利用判断は、マンション一括査定の使い方で確認してください。
参考資料
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「レインズってなに?」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社