マンション査定「AI・机上・訪問」3つの方法の違いと使い分け
- 2021.05.10
- マンション査定・相場
マンションの査定は、いま売却するとしたら、どの程度の価格になりそうかを把握するためのものです。不動産会社による査定では、成約事例や物件条件、市場状況などをもとに査定価格を算出します。
マンション査定には、AIによる自動推定サービスのほか、不動産会社による机上査定・訪問査定があります。どれか1つが常に優れているわけではありません。いま何を知りたいのか、売却をまだ迷っているのか、実際に進めたいのかによって使い分けます。
| 項目 | AI査定 | 机上査定 | 訪問査定 |
|---|---|---|---|
| 誰が価格を出すか | システム | 不動産会社 | 不動産会社 |
| 現地確認 | なし | なし | あり |
| 主に使う情報 | 入力された物件情報、過去の取引データなど | 物件概要、成約事例、市場情報など | 物件情報や成約事例などに加え、現地で確認した情報 |
| わかること | 価格のおおよその目安 | 不動産会社が考える査定価格とその根拠 | 現地で得た情報も踏まえた査定価格 |
| 担当者への質問 | サービスによって異なる | できる | できる |
ここでいうAI査定は、売主がWeb上で物件情報を入力し、システムから価格の推定結果を得るタイプのサービスを指します。不動産会社の担当者が査定業務の補助としてAIを利用する場合とは分けて考えます。
マンション査定は売却を考えるための材料
査定価格がわかると、売却するかどうかや、その後の資金計画を考えやすくなります。
売却を具体的に進める段階では、査定価格だけでなく、なぜその価格になったのかという根拠も聞いておくと、その価格をどの程度信用するか考える材料になります。
AI査定・机上査定・訪問査定は何が違う?
3つの査定では、価格を出す人や使う情報が違います。価格の目安だけ知りたいのか、査定価格の根拠も聞きたいのか、現地の状態まで見てもらいたいのかによって選びます。
AI査定は価格の目安を知る方法
まずおおよその価格だけ知りたいなら、AI査定を利用できます。
AI査定は、過去の取引データや物件情報などをもとに、システムが価格を推定するサービスです。マンション名、専有面積、所在階、間取りなどを入力して利用するものがあります。
入力する情報や、個人情報が必要か、不動産会社から連絡が来るかどうかはサービスによって異なります。担当者とのやり取りなしで結果を確認できるものもありますが、サービスごとに仕組みは違います。
また、AI査定では現地を直接確認しません。AI査定だけで価格を決めつけず、価格の目安を知る方法の1つとして使います。
机上査定では査定価格の根拠も聞ける
価格だけでなく、なぜその査定価格になったのかも聞きたいなら、不動産会社の机上査定が向いています。
机上査定は、不動産会社が現地を訪問せずに行う査定です。所在地、築年数、専有面積、間取りなどの物件情報と、成約事例や現在の市場情報などをもとに査定価格を算出します。
AI査定との違いは、不動産会社が査定を行い、担当者へ査定価格の根拠を聞けることです。どのような成約事例を参考にしたのか、現在の市場をどう見ているのかなど、査定価格だけではわからない部分も聞けます。
訪問査定は現地で得られる情報が加わる
室内や共用部分の状態まで見てもらいたいなら、訪問査定を受けます。
訪問査定では、不動産会社の担当者がマンションを訪れ、室内や設備の状態、日照・眺望、騒音、共用部分の状態、周辺状況などを確認します。売主からの聞き取りや、用意された資料から得られる情報も査定に使われます。
一方、管理規約や長期修繕計画など、現地を見るだけではわからず、資料で確認する情報もあります。訪問査定では、物件情報や成約事例などに、現地で確認した情報や売主からの聞き取りを加えて査定します。
実際に依頼する場合は、訪問査定で確認される内容や当日の流れを先に知っておくと、何を用意すればよいかがわかります。
いまの状況に合う査定方法を選ぶ
まだ売るか決めていないなら、まず価格の目安がわかれば十分な場合があります。売却を進める段階では、査定価格の根拠や住戸の状態まで見てもらう必要が出てきます。どの査定が合うかは、現在の状況によって次のように変わります。

| 現在の状況 | 選択肢の目安 |
|---|---|
| 売却するかまだ決めておらず、まず価格の目安を知りたい | AI査定・机上査定 |
| まずWeb上で価格の目安を見たい | AI査定 ※利用するサービスの仕様を確認 |
| 価格だけでなく、査定価格の根拠も担当者へ聞きたい | 机上査定 |
| 売却を具体的に考えている | 机上査定・訪問査定 |
| 室内や共用部分など、現地の状態も見てもらいたい | 訪問査定 |
これは必ず「AI査定→机上査定→訪問査定」の順番で進むという意味ではありません。最初から売却時期が決まっているなら訪問査定から始めることもできます。反対に、まだ情報収集の段階ならAI査定や机上査定で必要な情報が得られる場合もあります。
たとえば、転勤の可能性があり、まだ売るか決めていない段階なら、AI査定や机上査定で価格を確認できます。その後、転勤が決まり売却を具体的に進めることになれば、訪問査定を利用するという選び方もできます。
査定価格は成約価格を保証するものではない
どの査定方法を選んでも、査定価格は将来その金額で売れることを保証する価格ではありません。訪問査定で現地の情報が加わっても、将来の購入希望者の反応や価格交渉、市場の変化まで確定するわけではないためです。
不動産会社から査定価格を提示されたら、金額だけでなく、その根拠も確認します。成約事例や住戸条件から査定価格が決まる仕組みを知っておくと、提示された査定価格に納得できる根拠があるか確かめられます。
参考資料
- 東急リバブル「スピードAI査定」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社
- 山本健司『「全部自分でできる人」になる「不動産の仕事」大全』ソシム株式会社