マンションの査定価格はどう決まる?成約事例が価格を左右する
- 2021.07.12
- マンション査定・相場
マンションの査定価格は、近隣相場だけを見て決めるものではありません。
基本になるのは、同じマンションや周辺の類似マンションで、実際にいくらで売れたかという「成約事例」です。そこから対象マンションや住戸との条件の違いを比べ、さらに現在売り出されている競合物件や買い手の動きなども踏まえて査定価格を算出します。
そのため、査定結果を見るときに重要なのは「4,200万円だった」という金額だけではありません。なぜ4,200万円と判断したのか、その根拠を見ることが重要です。
| 査定で見るもの | 役割 |
|---|---|
| 条件の近い成約事例 | 査定価格の基準にする |
| 査定するマンションや住戸との違い | 成約事例の価格をそのまま当てはめず、条件の違いを見る |
| 現在の競合物件・市場状況 | 現在売り出されている物件や買い手の動きも見て価格を判断する |
査定価格は条件の近い成約事例を基準にする
中古マンションでは、条件の近い成約事例と比べて価格を算出する「事例比較方式」が一般的です。
公益財団法人 不動産流通推進センターが公開している査定方法でも、同一または類似するマンションの取引事例から住戸を選び、査定する住戸との条件を比較して価格を求める方法が示されています。
ただし、地域が同じ、専有面積が近いというだけで、どの成約事例でも同じように使えるわけではありません。査定では、条件ができるだけ近い事例を探します。
- 同じマンションの成約事例
- 近隣にある築年数や規模が近いマンション
- 専有面積や間取りが近い住戸
- できるだけ最近成約した事例
ここでいう「近い」とは、距離だけではありません。築年数や建物規模、住戸の条件、成約した時期なども含めて比べます。
同じマンションで最近成約した住戸があれば、価格を比べるときに参考にしやすい事例です。該当する事例がなければ、近隣の似たマンションの成約事例も見ます。
また、REINS(レインズ)に登録されている過去の成約事例も、査定価格を算出するための資料として利用されています。
査定結果を受け取ったときは、どの成約事例を価格の基準にしたのかを確認するのがポイントです。
成約事例との条件の違いも査定価格に反映する
条件の近い成約事例が見つかっても、その成約価格がそのまま査定価格になるわけではありません。査定するマンションや住戸の条件が違えば、その違いも査定へ反映されます。
説明用の架空例で考えてみます。
近隣の類似マンションで、70㎡の住戸が4,000万円で成約していた場合
査定する住戸も70㎡前後だからといって、そのまま査定価格を4,000万円にはしません。
所在階、築年数、眺望、室内状態、マンションの管理・修繕状況などが異なれば、その違いも見ます。さらに、査定する時点で似た住戸が何戸売り出されているかなど、現在の状況もあわせて確認します。
成約事例4,000万円
↓
査定するマンションや住戸との違いを比べる
↓
現在売り出されている競合物件や市場の状況を見る
↓
査定価格を判断する
この例は、実際の査定方法を再現したものではありません。所在階が高いから一律に○万円を加える、築年数が古いから一律に○万円を引く、といった単純な計算を示すものでもありません。
ここで理解しておきたいのは、「近くで4,000万円で売れたから、所有する住戸も4,000万円」とはならないということです。
個々の条件を詳しく知りたい場合は、立地・築年数が査定でどう評価されるか、所在階・方角・間取りが査定でどう見られるかを確認できます。
室内やマンション全体の状態については、室内状態や共用部分が査定へどう影響するか、管理・修繕状況が査定や売却時の評価へどう関わるかで確認できます。
過去の成約事例だけでなく現在の競合や販売状況も見る
査定価格を算出するには、過去にいくらで売れたかだけでなく、現在そのマンションを売るとしたら、購入希望者がどの物件と比較するのかも見る必要があります。
| 情報 | 査定での役割 |
|---|---|
| 成約事例 | 実際に成立した価格として査定の基準にする |
| 現在の売り出し物件 | 購入希望者が同時に比較する競合物件として見る |
たとえば、同じマンション内で似た住戸が複数売り出されていれば、購入希望者には複数の選択肢があります。反対に、似た条件の売り出し物件がほとんどなければ、購入希望者が比較する物件の数や価格帯も変わります。
査定するときは、現在売り出されている物件だけでなく、最近の成約状況や販売状況も参考にします。
- 同じマンションや近隣で何戸売り出されているか
- 似た条件の物件がどの価格帯で売り出されているか
- 似た条件の物件がどの程度の期間で成約しているか
- 最近の成約状況や販売の動き
こうした情報を見ることで、そのマンションや周辺で買い手がどのように動いているのかを考える材料になります。
成約事例だけから査定価格が機械的に決まるわけではありません。成約事例をもとに、査定する住戸との違いや、現在売り出されている競合物件の状況も見ながら査定価格を考えます。
なお、査定価格は「その価格で必ず売れる」という保証ではありません。査定時点では、将来どの購入希望者が現れ、いくらで合意するかまでは確定していないためです。
査定結果では「なぜその価格なのか」を確認する
査定結果を受け取ったら、金額の高低を見るだけでなく、その査定価格について根拠のある説明を受けられるかを確認します。
査定結果で確認したい4つのポイント
- どの成約事例を基準にしたのか
- その成約事例と所有する住戸はどこが違うのか
- その違いを査定価格へどのように反映したのか
- 現在の競合物件や市場の状況をどのように見ているのか
たとえば「査定価格は4,500万円です」とだけ説明されても、その価格が妥当なのかは判断しにくいでしょう。
一方で、「同じマンションの直近の成約事例と、近隣の類似マンションを比較しています。所有する住戸は比較した住戸より所在階では有利ですが、現在は似た条件の競合物件が複数売り出されているため、査定価格は4,500万円前後と考えました」と説明されれば、なぜその査定価格になったのかわかります。
なお、媒介契約を締結する際に、不動産会社が売買すべき価額や評価額について意見を述べる場合は、宅地建物取引業法上も、その根拠を明らかにすることが求められています。
査定価格を見るときに大切なのは「いくらだったか」だけではなく、「なぜその価格なのか」です。
複数の不動産会社から査定を受けた場合も、単純に最も高い査定価格を選ぶのではなく、使った成約事例、所有する住戸との違いをどう見たのか、現在の市場をどう見ているのかまで比べます。依頼先を絞り込む段階では、複数社の査定内容を比較するときのポイントを確認すると、査定価格の根拠が十分か比べやすくなります。
参考資料
- 公益財団法人 不動産流通推進センター「価格査定マニュアルによる査定方法」
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「レインズってなに?」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法 第34条の2」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社