マンション売却の内覧前に何をする?準備と対応


                マンション売却の内覧前に何をする?準備と対応

マンションの内覧前に、住戸をモデルルームのように整える必要はありません。大切なのは、購入希望者が広さ・間取り・設備・収納・日照等を確認しやすい状態にしておくことです。床や通路を整理し、通常の掃除を行い、臭い・換気・照明も確認します。当日の売主は営業担当者になる必要はなく、質問されたことへ事実ベースで答えれば十分です。わからないことは推測せず、不動産会社と確認して回答します。

内覧前に準備する5つのこと
準備 目的 主な確認
見える 住戸の状態を見やすくする 掃除・照明・窓周辺
動ける 住戸内を確認しやすくする 床・通路・扉・収納前
感じる 臭い等で確認を妨げない 換気・生活臭・室温
わかる 購入判断に必要な情報を示す 設備・収納・眺望・生活環境
聞ける 疑問を確認できるようにする 売主・不動産会社の回答準備

内覧対策は「よく見せる」より「確認しやすくする」

内覧の目的は、購入希望者が実物を見て、購入判断に必要な情報を得ることです。生活中であれば生活用品があるのは自然です。家中の物を隠す必要はありません。

準備は、見える・動ける・感じる・わかる・聞けるの5項目で考えます。

居住中は生活用品があるため、プライバシーを守りながら確認できる状態にします。空室は室内を見渡しやすい一方、設備の状態を確認できるようにしておきます。

掃除と片付けは「見える・動ける」を基準にする

掃除は完璧さではなく、状態を確認できる程度でよい

まずは玄関、リビング、キッチン、洗面室、浴室、トイレ、窓周辺、バルコニー等を通常どおり清掃します。状態を確認しやすくすることが目的です。

内覧のためだけに隅々まで新築同様にする必要はありません。有料のハウスクリーニングやリフォームは、内覧直前の通常清掃とは別の判断です。

片付けは床・通路・扉・窓への動線を優先する

生活感を消すより、購入希望者が歩き、見たい場所へ近づけることを優先します。床や通路を塞いでいる物、扉の開閉を妨げる物、収納や窓・バルコニーの前にある物から整理すると効率的です。

収納は見られない前提で物を詰め込むのではなく、クローゼット、シューズ収納、キッチン収納等を開閉でき、おおよその広さが確認できる程度にしておきます。

現金・貴金属・重要書類・郵便物・個人情報が記載された書類・処方薬等は、生活上の管理として安全な場所へ移します。

臭い・換気・照明で住戸を確認しやすくする

臭いは香りで隠さず、原因を減らす

料理、タバコ、生ごみ、排水口、洗濯物等の臭いは、住んでいる本人が気づきにくいことがあります。内覧前は可能な範囲で換気し、臭いの原因となるものを片付け、必要な場所を掃除します。

強い芳香剤や香水で隠さず、室内の空気を入れ替えることを基本にします。季節や天候に応じて室温にも配慮します。

照明・カーテン・窓は「状態を見るため」に使う

玄関、廊下、洗面室、浴室、トイレ、北側の部屋、収納等は、昼間でも自然光だけでは確認しにくい場合があります。必要な場所の照明を点灯し、状態を見やすくします。

日照や眺望、窓からの周辺状況、バルコニーを確認しやすいよう、問題がなければカーテン等を開けておきます。ただし、外からの視線、防犯、居住中のプライバシー、天候等を考え、一律にすべて全開にする必要はありません。

購入希望者はエントランス、廊下、エレベーター、駐車場、ごみ置き場等の共用部分も確認する場合があります。共用部分は売主個人が自由に管理する場所ではないため、売主が掃除するのではなく、必要な情報を不動産会社と共有します。

当日の売主は営業担当者にならなくてよい

内覧当日は、あいさつをし、必要な質問に答え、生活情報を補足する程度で構いません。不動産会社の案内を妨げず、購入希望者が各部屋、収納、設備、バルコニー等を自分のペースで確認できる余地を残します。

内覧前に担当者と、誰が案内するか、売主がどの程度同席するか、どの情報を担当者から説明するかを確認しておくと対応しやすくなります。

質問には「事実」「経験」「未確認」を分けて答える

購入希望者からは、日照、眺望、騒音、買い物、交通、設備の使用状況、リフォーム・設備交換履歴、管理状況、駐車場等について質問される場合があります。

売主だから答えられる生活情報もあります。ただし、「とても静かです」のように個人の感想を客観的事実として断定するのではなく、「窓を閉めて生活している範囲では、大きな音を気にすることは多くありませんでした」のように、自分の経験として伝えると区別しやすくなります。

管理規約の詳細、駐車場の最新空き状況、大規模修繕の予定等がわからなければ、無理に答えを作りません。不動産会社や管理会社等で確認し、後ほど回答します。

設備の不具合、修理履歴等、売主が把握している事実は、内覧の印象を気にして隠すのではなく、あらかじめ不動産会社へ共有しておくことが基本です。一方、自分から悪いところをすべて列挙する必要もありません。誇張せず、隠さず、聞かれたことへ正確に答えます。

忙しい売主は優先順位を決めて準備する

たとえば、夫婦が居住中の70㎡・3LDKで、リビングに日常用品があり、子ども部屋とクローゼットにも物が多いケースです。キッチンは日常使用で、ペットはいません。仕事があり、週末まで大掛かりな準備ができないなら、確認を妨げるものから整えます。

時間がない場合、何からやる?
優先 すること 理由
床・通路・玄関を整理する 住戸内を移動しやすくする
リビング・水回り等を通常清掃する 主要な場所の状態を見やすくする
臭いの原因を片付け、換気する 住戸そのものを確認しやすくする
収納・窓・バルコニー前を整理する 開閉や広さ、眺望等を確認できるようにする
設備交換・リフォーム履歴等を確認する 質問へ正確に答えやすくする
装飾品を買い足す 内覧に必須ではない

子ども部屋は、物をすべて処分するより、床と通路を確保し、クローゼットを開けられる状態にします。当日は換気と必要な照明を確認し、不動産会社との役割分担を再確認します。

前日まで・当日直前・内覧中にすること

内覧準備を時系列で確認
タイミング すること 目的
前日まで 片付け・通常清掃・収納前の整理・質問されそうな情報の確認 慌てず確認してもらえる状態にする
当日直前 換気・臭い・通路・照明・窓周辺・貴重品を確認 住戸を見やすく、動きやすくする
内覧中 必要な説明と質問への回答を行い、確認の時間を確保する 購入希望者が判断材料を得られるようにする
内覧後 不動産会社から可能な範囲で反応を確認する 次の販売活動の参考にする

内覧前に不動産会社へ確認する5つの質問

  1. 購入希望者が特に確認したいと聞いている場所や条件はありますか?
  2. 当日は誰が案内し、私はどの程度同席・説明すればよいですか?
  3. 収納や設備等で、事前に見られる状態にしておく場所はありますか?
  4. 設備履歴や管理関係等、私が準備しておく情報はありますか?
  5. 内覧後の反応は、どのような形で共有してもらえますか?

内覧前に何をする?判断フロー

内覧日時を決める

不動産会社と当日の進め方を確認

床・通路・主要箇所を整理

通常の掃除を行う

臭いの原因・換気を確認

収納・窓・設備等を見られる状態にする

質問されそうな内容を整理

当日直前に換気・照明・貴重品等を確認

内覧では必要な質問へ事実ベースで回答

内覧後、不動産会社から反応を確認

マンション内覧前のチェックリスト

  • 床や通路を物で塞いでいない
  • 玄関・リビング・水回り等を通常清掃した
  • 収納・窓・バルコニー等を確認できる状態にした
  • 強い臭いの原因を片付け、可能な範囲で換気した
  • 暗い場所を確認できるよう必要な照明を確認した
  • 貴重品・重要書類・個人情報を安全な場所へ管理した
  • 設備交換・リフォーム履歴、不具合等の情報を整理した
  • 不動産会社と当日の役割を確認し、わからないことは推測で答えない

内覧後は1組の反応だけで結論を出さない

内覧後は、不動産会社から、どこを気にしていたか、価格や住戸条件への反応、ほかの物件との比較状況等を可能な範囲で確認します。ただし、1組の反応が市場全体の評価とは限りません。

内覧がその場で購入申込につながらなくても、それだけで準備が失敗だったとはいえません。内覧の目的は、購入希望者が実物を確認し、購入判断に必要な情報を得られることです。「よく見せる」より「確認しやすくする」を基準に準備してください。

内覧後に購入申込が入った場合は、価格だけでなく、引き渡し時期や住宅ローン等を含む申込条件を確認します。


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参考資料

  • 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社
  • 池田浩一『7日でマスター 不動産がおもしろいくらいわかる本』株式会社ソーテック社