マンション売却の販売活動。広告や報告はどう見る?
- 2026.08.26
- マンション売却
マンションの販売活動は、ポータルサイトへ掲載しただけで十分とは判断できません。媒介契約後は、REINS(レインズ)への登録・情報共有、広告、写真や物件説明の作成、問い合わせ対応等が行われます。売主が確認したいのは広告の数ではなく、「どこへ届けたか→どう伝えたか→どんな反応があったか→次に何をするか」がつながっているかです。
| 段階 | 主な活動 | 売主が確認すること |
|---|---|---|
| 届ける | REINS、ポータルサイト、自社サイト、既存顧客への紹介等 | どの購入候補へ、どの方法で情報を届ける計画か |
| 伝える | 写真、間取り、価格、物件説明、マンション情報等 | 購入判断に必要な情報が正確でわかりやすいか |
| 反応を見る | 問い合わせ、内覧、購入希望者・ほかの不動産会社からの反応 | 情報を見た人がどの段階まで進んでいるか |
| 改善する | 掲載内容、届け方、販売方針等の再確認 | 反応を受けて次に何を行うか |
販売活動は「届ける」ことから始まる
販売開始後は、まず購入候補へ物件情報を届けます。方法にはREINS、不動産ポータルサイト、不動産会社の自社サイト、既存顧客への紹介、社内ネットワーク等があります。ただし、掲載媒体が多いほど販売活動が優れているとは限りません。同じ購入候補が複数媒体を見ることもあるため、「5サイト掲載した」より「このマンションを買いそうな人へ、どう届ける計画か」を確認します。
REINSは不動産会社間で物件情報を共有する仕組み
REINS(レインズ)は、国土交通大臣から指定を受けた指定流通機構が運営する、不動産会社間の物件情報交換システムです。一般消費者向けのポータルサイトではありません。売却物件を不動産会社間で共有することで、依頼先とは別の不動産会社が抱える購入希望者にも紹介できる状態をつくります。
専属専任媒介契約及び専任媒介契約ではREINSへの登録義務があります。登録期限は、専属専任が媒介契約締結日の翌日から5日以内、専任が7日以内で、不動産会社の休業日・REINS休止日は除かれます。一般媒介契約には同じ法定の登録義務はありませんが、契約内容によってREINSへ登録することは可能です。媒介契約ごとの制度の違いは、マンション売却の媒介契約3種類の違いで確認できます。
専属専任・専任媒介では、登録後に不動産会社から登録証明書を受け取ります。売主向けの確認画面では、登録されている主な物件情報、取引状況、取引状況を補足する情報、登録されている場合は図面も確認できます。2025年1月からは取引状況の登録が義務化され、登録証明書の二次元コードから確認画面へアクセスしやすくなりました。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
REINSへ登録されたことだけで販売活動が十分とは判断せず、登録内容や図面、取引状況、その後の問い合わせ等まで確認します。
ポータルサイトは購入希望者へ届ける方法の1つ
SUUMO、LIFULL HOME’S、at home等のポータルサイトも購入希望者へ情報を届ける方法です。特定サイトへの掲載が法律上必須というわけではなく、すべてのポータルへ載せる必要もありません。売主は「どの媒体を使うか」「なぜ使うのか」「実際に掲載されたか」を確認します。
「伝える」は写真だけでなく物件情報全体を見る
広告を見た購入希望者が比較・判断できるよう、写真、間取り、売り出し価格、専有面積、所在階、方角、交通、設備、管理費・修繕積立金等の情報を整えます。マンションによっては眺望、共用部分、駐車場、管理状況、大規模修繕等も判断材料になります。
写真は重要ですが、「最低○枚」「プロカメラマン必須」といった固定基準はありません。売主が見るのは、実際の状態と合っているか、主要な部分がわかるか、著しく見づらくないか、同じような写真だけになっていないかです。見栄えより、購入希望者が実際の物件を正しく判断できることを優先します。実物と異なる印象を与える説明や加工は避けます。
売主が広告文を作成する必要はありません。ただし、販売開始時や内容変更時には、売り出し価格、専有面積、間取り、所在階、写真、設備、交通、管理費・修繕積立金等に明らかな誤りがないか、主要な掲載内容を確認しておくと安心です。
販売開始後は「反応を見る→改善する」
販売活動は広告を出して終わりではありません。問い合わせがあれば、物件説明、内覧調整、ほかの不動産会社からの問い合わせ対応等が続きます。確認したいのは件数だけではなく、問い合わせ→内覧→購入申込のどこまで進んでいるかです。
問い合わせ0件でも、不動産会社が何もしていないとは限りません。価格、物件条件、競合物件、市場需要等も影響します。反対に問い合わせが多ければ必ず販売活動が優れているともいえません。反応を材料に、掲載内容や届け方、販売方針を次にどう調整するかまで確認します。
販売報告は「実施→反応→次の行動」で見る
専属専任媒介契約では1週間に1回以上、専任媒介契約では2週間に1回以上、業務処理状況の報告義務があります。一般媒介契約には同等の法定の定期報告義務はありませんが、販売状況の報告を求めることは可能です。重要なのは、報告回数を満たしているかだけではなく、判断に使える内容があるかです。
| 報告内容 | 確認すること | 次の判断 |
|---|---|---|
| 販売活動 | REINS・広告・紹介等、実際に何を行ったか | 計画どおり実施されているか |
| 問い合わせ | 件数だけでなく、内容・経路・その後 | 情報が届き、関心につながっているか |
| 内覧 | 件数と内覧後の反応 | 具体的な検討段階へ進んでいるか |
| 購入希望者・ほかの不動産会社の反応 | 価格や物件条件への意見 | 改善点を考える材料があるか |
| 競合物件 | 新規売り出し、価格変更、成約等 | 市場での位置に変化がないか |
| 次の対応 | 次回までに何を行う予定か | 反応を受けて方針が更新されているか |
問い合わせ0件でも販売報告の中身は違う
次は、同じマンションを販売していると仮定した説明用の架空例です。
報告A:「今週は問い合わせ0件でした。引き続き販売します。」
報告B:「REINS登録及びポータル掲載を継続。ポータルの閲覧はあるものの問い合わせはなし。同じ価格帯に近隣マンション2件が新しく売り出されたため、写真・説明内容と競合価格を再確認する。次回までに掲載内容を見直し、反応が変わらなければ価格も含め販売方針を相談する。」
| 項目 | 報告A | 報告B |
|---|---|---|
| 行った活動 | 不明 | REINS・ポータル掲載を確認できる |
| 問い合わせ | 0件 | 0件 |
| 市場変化 | 不明 | 競合2件の追加を確認 |
| 分析 | 不明 | 閲覧状況と競合を確認 |
| 次の行動 | 継続 | 掲載内容確認→必要なら販売方針を再検討 |
報告Aが法律違反、報告Bが必ず優秀という意味ではありません。違いは、問い合わせ件数が同じでも、Bのほうが「何をした→何が起きた→次に何をする」を売主が把握しやすいことです。
販売活動を把握するなら4つを聞く
- どこへ情報を届けましたか?
REINS、ポータル、自社顧客等、情報提供先と狙いを確認します。 - どのように物件を伝えていますか?
写真、間取り、物件説明等が購入判断に必要な内容になっているか確認します。 - どんな反応がありましたか?
問い合わせ、内覧、購入希望者・ほかの不動産会社からの反応と、その後を確認します。 - その反応を受けて次に何をしますか?
継続するのか、掲載内容や届け方を見直すのか、販売方針をどう考えるのか確認します。
「販売活動は十分?」判断フロー
媒介契約締結
↓
販売方針の説明を受けた?
↓
実際に情報が公開・共有された?
↓
REINS・広告等の内容を必要な範囲で確認
↓
問い合わせ・内覧等の反応が報告されている?
↓
反応の理由・競合状況等の説明がある?
↓
次に行うことが説明されている?
↓
YES → 販売状況を把握しながら継続
途中でNOがあれば、まず担当者へ具体的に確認し、説明や対応を確認します。NOが1つあるだけで不動産会社の変更を決めるのではなく、必要に応じて販売方針を再検討します。
マンションの販売活動を確認するチェックリスト
- 想定する購入候補と、情報を届ける方法を聞いた
- REINS登録の対象なら、登録証明書・登録内容を確認した
- 主な広告・情報提供先と掲載状況を確認した
- 写真・間取り・価格等の主要情報に大きな誤りがないか確認した
- 問い合わせ・内覧がどの段階まで進んだか把握している
- 購入希望者・ほかの不動産会社からの反応や競合物件の変化を聞いた
- 反応を受けて次に何を行うか説明を受けた
- 広告数や報告回数だけで販売活動を判断していない
販売活動の十分さは、REINS登録や広告掲載の数ではなく、販売方針→実行→反応→次の対応がつながっているかで判断します。販売報告を受けたら、数字だけで終わらせず「次に何をするのか」まで確認できる状態を目指してください。
参考資料
- 国土交通省「標準媒介契約約款」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法 第34条の2」
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「売却依頼主向け確認画面」
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社