マンションの贈与に税金はいくらかかる?不動産贈与の税金と節税方法
- 2021.10.04
- マンション売却
マンションを贈与する場合には贈与税がかかります。
いざ贈与する場合、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。マンション贈与税の計算方法や節税対策等に関して知っておくべきことを解説します。
マンションの贈与税とは
贈与税とは、個人が個人へ財産の贈与をした際に贈与を受けた者に課せられる税金です。課税対象は金銭だけでなく、車や不動産の贈与も対象で、もちろんマンションにも贈与税が発生します。
相続税との違いは、相続税は被相続人(亡くなった人)から相続などによって財産を取得した場合です。
対して贈与税は、贈与者(贈与する側)と受贈者(贈与される側)の合意によって発生します。また、相続では血縁関係によって相続権利の有無や相続分が決定しますが、贈与は血縁関係がなくとも行うことができます。
マンションの贈与税・計算方法
金銭などを贈与する場合と不動産を贈与する場合では贈与税の計算が少し異なります。金銭や株券は贈与される金額に税率をかけますが、不動産は物件の市場価格ではなく「固定資産税評価額」に税率をかけます。
ですから、贈与税は「固定資産税評価額」×「税率」-「控除額」によって算出します。
【一般贈与税の計算】
【不動産贈与税の計算】
「固定資産税評価額」は、さまざまな税金を計算する際に使われる元となる金額です。固定資産税評価額は原則として3年ごとに見直されています。
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税評価額は、毎年送られてくる「納税通知書」によって確認が可能です。
もし、紛失等してしまった場合は、物件所在地の市役所にて確認ができます。郵送対応や委任状でも対応できますが、手数料や手間がかかるので注意が必要です。
土地の評価額計算
マンションの贈与税を算出するには、別途土地の評価額を算出しなければなりません。
建物については固定資産税評価額の記載がある「納税通知書」の確認が必要ということはわかりました。土地の評価額の算出は下記のとおりです。
土地の路線価は国税庁のホームページ
より確認ができます。
(例)路線価:100㎡/1㎡ 、敷地面積:2,000㎡、持ち分割合:1/100であれば
100万円×2000㎡×100/1=2000万円が土地評価額です。
たとえば、建物評価額が3000万円の場合、2,000万円(土地)+3,000万円(建物)となり、この場合は5,000万円がマンションの評価額です。
一般税率
ここまで紹介してきた評価額に「一般税率」または「特殊税率」のどちらかの税率をかけます。
「一般税率」とは特殊税率に該当しない場合に使用します。特殊税率の詳細は後述します。まずは、1月1日~12月31日までの1年間の合計贈与額を知る必要があります。基礎控除額の110万円を引いて、残った金額に対し、税率をかけます。その金額から「控除額」を引いたものが一般税率による贈与額です。
税率に関しては金額によって変動するので早見表を確認してください。
基礎控除後の課税価格(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
---|---|---|
200万以下 | 10 | - |
300万以下 | 15 | 10万 |
400万以下 | 20 | 25万 |
600万以下 | 30 | 65万 |
1,000万以下 | 40 | 125万 |
1,500万以下 | 45 | 175万 |
3,000万以下 | 50 | 250万 |
3,000万超 | 55 | 400万 |
参照:国税庁「贈与と税金」
(例) 評価額が500万円の場合(「一般税率」を使用します。)
基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
特殊税率
基礎控除後の課税価格(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
---|---|---|
200万以下 | 10 | - |
400万以下 | 15 | 10万 |
600万以下 | 20 | 30万 |
1,000万以下 | 30 | 90万 |
1,500万以下 | 40 | 190万 |
3,000万以下 | 45 | 265万 |
4,500万以下 | 50 | 415万 |
4,500万超 | 55 | 640万 |
参照:国税庁「贈与と税金」
(例) 評価額が500万円の場合(「特例税率」を使用します。)
基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円
一般税率に比べて、同じ贈与額でも少し安くなっています。
マンションの贈与・節税対策
不動産の贈与税は高額になるケースが多いです。しかし、マンションの贈与税は非課税制度があります。「マンションの贈与税を少しでも安くしたい」という方は非課税制度をしっかり理解しておきましょう。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までの贈与が非課税となり、2,500万円を超える金額は一律20%の課税です。
たとえば、ご両親に多額の貯金があり、毎年非課税分の110万円以下で贈与を受けている方が利用すると、一度で2500万までを非課税で受け取れるということです。
ただ、「相続時精算」と名前にもなっている通り、相続時にこれまで贈与していた金額が精算されます。たとえば2,000万円の贈与を非課税で受け取っていた場合、相続時に2,000万円が相続税の対象です。ですからあえて、相続税で課税する場合の方がお得な場合もありますので注意が必要です。
主な条件としては、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫への贈与時に限られます。デメリットはこちらの制度を利用することによって、非課税枠の110万円が今後使えなくなりますので今後も贈与する可能性がある場合等には注意が必要です。(同一人物に限るので物人からの贈与であれば利用可)
*より詳細を確認される方は国税庁の説明ページをご覧ください
参照:国税庁「相続時精算課税の選択」
配偶者控除
配偶者控除とは、婚姻関係が20年を過ぎた後に夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与があった場合、基礎控除である110万円の他に2,000万円を限度とする額を控除することができる特例です。
居住用としての贈与時に適用ということもあり、贈与を受けた後、翌年の3月15日までに入居し、その後も継続して入居することが必要です。
マンションの贈与・メリットや注意点
相続など贈与以外の方法がある中、マンションを贈与するとどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれのライフプランや家族構成によって一番よい方法を選択する必要があります。ここではマンションを贈与した場合のメリットや注意点を理解しておきましょう。
贈与相手を自由に選択できる
贈与する相手を自由に選択できるのが大きなメリットです。相続の場合でも「遺言書」があればこの内容に従わなければいけないのですが、家庭裁判所に提出したり、公証役場に行って手続きをしたりと、手間がかかります。遺言書がなければ、遺産分割協議によって法定相続人の話し合いによって決定します。
相続後のもめ事を無くす意味でも贈与を利用される方が多いです。
賃貸収入があるマンションの場合は早めの贈与がおすすめ
賃貸収益のあるマンションの場合では、早めに贈与することがおすすめです。なぜなら、贈与せずに保有しておくと賃料収入として財産が増えていきます。財産が増えていった分は当然贈与時の課税対象です。贈与時や相続時に少しでも税金を少なくするために賃貸収入があるマンションの贈与は早い方がいいでしょう。
贈与税と相続税の比較
マンションの贈与税率は先述しましたが、相続税の方が税率は低くなっています。税率だけを見ると相続の方がお得と思ってしまいますが一概にそうとはいえません。相続税は亡くなった時点で財産を一度に相続するわけですから相続金額が多額になることが多いです。一方で贈与税はその都度贈与するので相続税の金額に比べると低くなることが一般的です。
贈与されるマンションの課税価格がどのくらいになるのか把握しておきましょう。
所得金額(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
---|---|---|
1,000万以下 | 10 | - |
3,000万以下 | 15 | 50万 |
5,000万以下 | 20 | 200万 |
1億以下 | 30 | 700万 |
2億以下 | 40 | 1,700万 |
3億以下 | 45 | 2,700万 |
6億以下 | 50 | 4,200万 |
6億超 | 55 | 7,200万 |
参照:国税庁「相続税」
基礎控除後の課税価格(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
---|---|---|
200万以下 | 10 | - |
400万以下 | 15 | 10万 |
600万以下 | 20 | 25万 |
1,000万以下 | 30 | 65万 |
1,500万以下 | 40 | 125万 |
3,000万以下 | 45 | 175万 |
4,500万以下 | 50 | 250万 |
4,500万超 | 55 | 400万 |
参照:国税庁「贈与税と税金」
贈与税を受ける側の意見を聞く
マンションを贈与や相続するにあたって、贈与を受ける側の意見を聞くのは大切です。
不動産を贈与しても管理するにも売却するにもある程度手間と時間がかかります。
そのため、予め不動産を売却し、現金に換えてからの贈与や相続を希望される方が多いです。
贈与を受ける側に相談するために、ご自宅の査定額は知っておいた方がいいかもしれません。