マンションの査定は何社に頼む?比較する不動産会社数の決め方


                マンションの査定は何社に頼む?比較する不動産会社数の決め方

マンション査定は、1社だけでは査定価格や説明を比較できません。一方、依頼する会社を増やすほど、連絡や日程調整、説明を聞く負担も増えます。最初からできるだけ多くの会社へ依頼するのではなく、まず2~3社程度を比較し、判断材料が足りなければ追加するという進め方が現実的です。大切なのは社数そのものではなく、比較して納得できるだけの情報が集まったかどうかです。

査定を頼む会社数の考え方
依頼社数 比較しやすさ 売主の負担 向いている状況
1社 比較できない 小さい 依頼したい会社がすでに明確で、比較しないことを理解している
2社 最低限比較できる 比較的小さい 負担を抑えながら、査定価格や説明の違いを確認したい
3社程度 共通点・違いを把握しやすい 中程度 複数の査定価格や説明を見比べて判断したい
4社以上 選択肢をさらに増やせる 大きくなりやすい 最初の比較だけでは判断材料が足りず、追加の意見を確認したい

なお、「2~3社程度」は法律や制度で決められた社数ではありません。比較対象を確保しながら、売主の連絡・確認の負担も増やしすぎないために、マンション売却査定.COMがこの記事で示す実務上の目安です。

自分は何社に頼む?

査定を依頼する

すでに依頼したい不動産会社が決まっている?

YES → 1社でもよい。ただし、ほかの会社と比較できないことを理解して判断する
NO → まず2~3社程度を比較する

査定価格や説明を見ても判断材料が足りない?

NO → 比較した会社のなかから次の判断へ進む
YES → 理由を確認し、必要に応じて別の会社へ追加査定を依頼する

まず2~3社程度を比較し、足りなければ追加する

査定を何社へ頼むかを考えるときは、単純に社数を増やすのではなく、「比較して判断できるだけの情報量」と「無理なく対応できる負担」のバランスで考えます。

1社では比較できませんが、2社なら少なくとも査定価格や説明に違いがあるか確認できます。3社程度になると、「3社とも似た見方をしている部分」と「1社だけ見方が違う部分」を把握しやすくなります。

一方で、4社、5社、6社と増やせば、その分だけ電話・メールへの対応、物件情報の説明、訪問日時の調整、査定結果の確認なども増えていきます。

そのため、最初から最大限の会社数を集めるより、まず比較できる社数から始め、判断できなければ追加するほうが、情報量と負担を調整しやすくなります。

1社・2社・3社では、分かることが変わる

1社だけでは、その会社の見方を相対的に確認できない

1社へ依頼すること自体が問題なのではありません。1社の査定価格が間違っているとも限りません。

ただし比較対象がないため、その会社が示した査定価格や説明が、ほかの不動産会社と比べてどのような位置づけなのか確認できません。

たとえば、どの成約事例を参考にしたのか、市場をどのように見ているのか、マンションの強み・弱みをどう評価したのかについて、別の見方と比べることができないということです。

2社なら比較できるが、意見が割れることもある

2社へ依頼すれば、少なくとも2つの査定価格と説明を比較できます。社数を抑えたい売主にとっては、負担とのバランスを取りやすい方法です。

ただし、2社の査定価格や説明が大きく違った場合、「どちらの見方を参考にすればよいのか」という新しい疑問が生じることがあります。そのときは説明を確認し、それでも判断材料が足りなければ3社目を追加する方法があります。

3社程度なら共通点と違いを見つけやすい

3社程度になると、複数社に共通する見方と、会社ごとの違いを分けて考えやすくなります。

ただし、3社が「正解」という意味ではありません。3社を比較して十分判断できればそこで止め、逆に判断できなければ追加するという考え方です。

4社以上へ頼む合理性がある場合もある

4社以上への依頼が多すぎると一律に決める必要もありません。

たとえば、最初の査定価格に大きな差がある、各社の説明が大きく食い違う、そのマンションの売却実績がある別の会社にも聞きたいといった場合は、追加で査定を依頼する合理性があります。

重要なのは、「まだ判断できないから追加する」のか、「何となく会社数を増やしているだけなのか」を区別することです。

複数社査定は「一番高い会社」を探すためではない

複数社へ査定を依頼する目的は、最も高い査定価格を提示した会社を探すことではありません。

見るべきなのは、査定価格にどの程度の差があるか、各社がマンションをどのように評価しているか、売却についてどのような説明をしているかです。

不動産査定では、成約事例などのデータだけで機械的に1つの価格が決まるわけではなく、個別の条件や市場状況などを踏まえた不動産会社の判断も関係します。

そのため、3社の査定価格を足して3で割った金額が「正しい査定価格」になるわけでもありません。査定は多数決や平均値を作るためのものではないからです。

査定価格がどのような根拠で算出されるかについては、マンションの査定価格はどう決まる?成約事例が価格を左右するで整理しています。

3社を比較して判断できなければ、追加すればよい

たとえば、マンション売却を検討しているAさんが、まず3社へ机上査定を依頼したとします。

  • A社:4,000万円
  • B社:4,150万円
  • C社:4,500万円

※金額は説明用の架空例です。

この結果だけを見て、「最も高いC社へ依頼しよう」と即決する必要はありません。まず、C社だけ査定価格が高い理由を確認します。

3社の説明を聞いて、違いの理由を理解でき、次の判断に必要な材料が揃ったのであれば、むやみに4社目、5社目を増やす必要はありません。

反対に、3社の説明が大きく食い違い、どの見方を参考にすればよいのか判断できなければ、別の不動産会社へ追加査定を依頼する方法があります。

依頼社数を決める基準は「多さ」ではなく、判断に必要な材料が揃ったかどうかです。

信頼できる会社が決まっているなら1社という判断もある

必ず複数社へ査定を依頼しなければならないわけではありません。

以前から付き合いのある不動産会社がある、そのマンションの売却実績を把握している、査定の説明や販売方針に十分納得しているなど、すでに依頼したい会社が明確な場合は、1社で進めるという判断もあり得ます。

その場合に確認しておきたいのは、「1社だから問題」なのではなく、「比較しないため得られない情報がある」という点です。それを理解したうえで1社を選ぶのであれば、社数だけを理由に追加する必要はありません。

訪問査定はすべての会社へ頼まなくてもよい

机上査定と訪問査定では、売主側の負担も異なります。複数社から机上査定を受けたからといって、そのすべてへ訪問査定を依頼する必要があるわけではありません。

売却を具体的に進める場合は、

  1. 複数社の机上査定や最初の説明を確認する
  2. もう少し詳しく話を聞きたい会社を絞る
  3. 必要な会社へ訪問査定を依頼する

という進め方もできます。

「机上査定は3社、訪問査定は2社」と固定するのではなく、査定方法ごとの負担と、自分が必要としている情報にあわせて調整してください。

複数社へ依頼する方法は個別依頼だけではない

2~3社程度を比較すると決めた場合、不動産会社を1社ずつ探して個別に査定を依頼する方法のほか、一括査定を利用して複数社へまとめて依頼する方法もあります。

一括査定を使うこと自体が目的ではありません。比較したい会社数は決まったものの、1社ずつ探して依頼する手間を減らしたい場合の選択肢として考えれば十分です。

2~3社程度を比較したい場合は、複数社へまとめて査定を依頼する方法もあります。

一括査定をはじめる

何社に頼むかは「比較できる情報量」と「負担」で決める

マンション査定の依頼社数に、すべての売主へ共通する1つの正解があるわけではありません。

まず2~3社程度を比較し、査定価格や説明を見て判断できればそこで止める。判断材料が足りなければ追加する。この考え方なら、比較対象を確保しながら、連絡や日程調整の負担も必要以上に増やさずに済みます。

すでに信頼できる会社が決まっているなら1社という選択もできます。反対に、最初の比較だけでは判断できないなら4社目以降を追加しても構いません。社数を先に決め切るのではなく、自分が判断できる状態になったかを基準にしてください。


参考資料

  • 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社