マンションの査定では立地・築年数はどう評価される?


                マンションの査定では立地・築年数はどう評価される?

マンションの査定では、立地と築年数のどちらも価格に影響します。ただし、「駅に近いからプラス」「築30年だからマイナス」のように、条件ごとに一律の金額を加減するわけではありません。

基本になるのは、同じようなマンションと比べたときに、その物件がどう評価されるかです。立地や築年数は、購入を検討する人の範囲や、査定で比較する成約事例を変えるため、結果として査定額にも影響します。

確認する条件 査定で見ること 価格に関係する理由
最寄駅・路線 利用できる駅、路線、交通利便性 購入を検討する人の範囲が変わる
駅までの距離 徒歩時間、駅へのアクセス 日常の利便性や他物件との比較に影響する
周辺環境 スーパー、商業施設、生活施設など 暮らしやすさや購入判断に関係する
地域の需要 その地域で中古マンションを探す人の多さ 購入希望者の数や売れやすさに関係する
築年数 建築からの経過年数 比較対象や買主の選択基準が変わる
構造・耐震 RC・SRCなどの構造、建築時期、耐震性 建物に対する買主の評価に関係する

立地は「購入希望者」と「比較する物件」を変える

立地が査定で重要なのは、住所そのものに価格が付いているからではありません。

最寄駅、駅までの距離、利用できる路線、買い物のしやすさなどによって、そのマンションを購入候補に入れる人が変わるからです。

不動産会社が現地を確認するときも、単に地図上の距離を見るだけではありません。実際の交通手段や周辺の生活施設などを確認し、その地域で生活する場合の利便性を把握します。

  • どの駅を利用できるか
  • 利用できる路線は何か
  • 駅までどの程度かかるか
  • スーパーや商業施設を利用しやすいか
  • その地域で中古マンションを探す人がいるか

そして、立地条件は査定で使用する成約事例にも関係します。

中古マンションの査定では、同一または類似するマンションの成約事例を選び、条件の違いを比較する方法が一般的です。詳しい仕組みは「マンションの査定額はどう決まる?成約事例が価格を左右する」で説明しています。

同じマンションの成約事例があれば有力な比較材料になります。なければ、同じ駅や近い生活圏にあり、築年数や建物条件などが近いマンションへ比較対象を広げます。

駅徒歩○分だけで価格は決まらない

駅に近いマンションが購入候補になりやすいケースはあります。しかし、「徒歩5分なら○%高い」「徒歩10分を超えたら○%下がる」と全国共通の割合で考えることはできません。

査定で重要なのは、ほかの条件をできるだけそろえて比較することです。

たとえば、同じ駅を利用し、築年数や規模も近い2つのマンションで、一方が駅徒歩4分、もう一方が徒歩12分なら、駅距離の違いが成約価格にどう表れているかを比較しやすくなります。

反対に、駅も地域も築年数も違うマンションとの価格差を、「駅まで遠いから」と駅距離だけで説明することはできません。

築年数は「何年古いか」だけで評価しない

築年数も査定の重要な条件です。ただし、建築から1年経過するごとに一定額ずつ価値が下がるわけではありません。

築年数によって変わるのは、主に次のような点です。

  • 買主が比較するマンション
  • 建物や設備に対する買主のイメージ
  • 建築された時代
  • 耐震基準など確認すべき建物条件

たとえば築25年のマンションを査定するとき、駅が近いという理由だけで築3年のマンションをそのまま比較対象にするのは適切ではありません。できるだけ築年数や立地などが近い事例を選び、条件に違いがあれば、その差を考慮して査定します。

東日本不動産流通機構(東日本REINS)は、中古マンションの成約状況を築年帯別にも公表しています。ただし、築年帯ごとの平均価格に差があっても、その差がすべて築年数によって生じたとは限りません。

築浅と築古では、立地、専有面積、地域、売買されている物件の構成なども違います。平均価格の差を、そのまま「築○年で○%値下がりする」と読み替えないことが重要です。

築年数が古い=売れない、ではない

築年数が古くても、中古マンションは実際に取引されています。

東日本REINSが公表した2026年1~3月の首都圏中古マンションの成約状況では、築30年を超える物件が成約件数全体の40%以上を占めています。

もちろん、これは「築30年を超えても価格が下がらない」という意味ではありません。築古マンションにも一定の取引市場があり、築年数だけを理由に「売れない」と判断する必要はない、ということです。

次の2つのマンションを比べてみます。

Aマンション Bマンション
駅までの距離 徒歩4分 徒歩12分
築年数 築25年 築15年
地域 同じ生活圏と仮定 同じ生活圏と仮定

Bマンションのほうが10年新しいからといって、必ずBの査定評価が高くなるとは限りません。Aマンションには駅距離という強みがあります。

もちろん、反対にAのほうが必ず高いともいえません。実際には建物の規模や構造、住戸条件なども異なるからです。

この例で重要なのは、築年数だけ、駅距離だけでマンションの査定額を決めることはできないという点です。

構造・耐震性は建築された時期とあわせて確認する

マンションの建物構造には、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)などがあります。

ただし、「SRC造だからRC造より必ず高く査定される」という単純なものではありません。構造は建物の基本情報として確認し、築年数や建築時期、耐震性などとあわせて見ます。

特に築年数が古いマンションでは、新耐震基準との関係が確認されます。新耐震基準は、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されています。

一方、それ以前に建築されたマンションでも、耐震診断や耐震改修が行われている場合があります。そのため、「1981年以前だから耐震性に問題がある」と建築年だけで決めつけることもできません。

  • 建築年月
  • RC造・SRC造などの建物構造
  • 建築確認を受けた時期
  • 耐震診断の有無
  • 耐震改修の有無

査定を受けたときは、これらの情報を不動産会社が確認したうえで、価格にどのように反映したのかを見るとよいでしょう。

査定書では金額より「何と比較したか」を確認する

立地も築年数も、売却するときに売主が変えられる条件ではありません。

だからこそ、「駅から遠いから仕方がない」「築古だから安い」と考えるのではなく、その条件が査定でどのように評価されたかを確認することが重要です。

査定書を受け取ったら、次の点を確認してみてください。

  • 比較対象のマンションは同じ駅・近い生活圏にあるか
  • 最寄駅や利用路線が大きく違っていないか
  • 駅までの距離が大きく違う物件を比較していないか
  • 築年数が近い成約事例を使っているか
  • 同じマンションの成約事例がないか確認しているか
  • 条件が違う場合、その違いをどう評価したか説明があるか
  • 構造や建築時期、耐震性について必要な確認をしているか
  • 「駅から遠い」「築古」という理由だけで価格を説明していないか

複数の不動産会社で査定額が違うときも、見るべきなのは最も高い金額ではありません。

どの成約事例を選び、立地や築年数の違いをどう評価したのか。その根拠を並べて比較すると、自分のマンションを適切に評価している査定を見分けやすくなります。

立地や築年数そのものは変えられません。しかし、査定でどう評価されたかは確認できます。査定結果を見るときは、金額だけでなく、比較事例と評価理由まで確認してください。


参考資料

  • 公益財団法人 不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」
  • 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本REINS)「不動産市場動向(統計)」
  • 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本REINS)「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 2026年1~3月」
  • 国土交通省「マンション管理・再生ポータルサイト」
  • 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社