マンションの売り出し価格と成約価格は何が違う?


                マンションの売り出し価格と成約価格は何が違う?

不動産ポータルサイトで「4,800万円」と掲載されているマンションがあっても、4,800万円で売買が成立したことを意味するわけではありません。掲載されているのは、その時点で売主が市場へ提示している売り出し価格です。実際に売主と買主が売買条件について合意した金額が成約価格で、販売中に価格が変更される場合もあります。

売り出し価格は、いま購入希望者が比較している競合物件の価格を知る材料として重要です。ただし、その数字を「実際に売れた価格」と考えたり、自宅の価格へそのまま当てはめたりせず、成約価格とは役割を分けて見ます。

売り出し価格と成約価格の違い
項目 売り出し価格 成約価格
意味 売主が市場へ提示している販売価格 売主と買主が最終的に合意した取引価格
主に見る場面 現在販売中の物件を見るとき 成約済みの取引事例を見るとき
決まり方 売主が不動産会社と相談しながら設定する 売主と買主が売買条件について合意して決まる
相場確認での役割 現在の競合物件の価格を見る 実際に成立した取引の価格を見る
注意点 その価格で売れることを示す数字ではない 1件だけでマンション全体の相場とは判断できない

ネットの掲載価格は「売り出し価格」

不動産ポータルサイトで販売中のマンションに表示されている価格は、基本的に売主が市場へ提示している売り出し価格です。購入希望者は、この価格を見ながらほかの物件と比較します。

売り出し価格を、売主の希望だけで決まる価格と考えるのも適切ではありません。成約事例や競合物件、売主の希望、販売方針等を踏まえて設定される場合があります。実際に売却する段階では、査定価格や相場から売り出し価格を決める考え方をもとに価格を設定します。

ただし、重要なのは市場へ提示されている価格と、実際に売買が成立した価格は別という点です。同じマンションで4,800万円の住戸を見つけても、「このマンションは4,800万円で売れる」とまでは判断できません。

売り出し開始から成約まで、価格は同じとは限らない

ネット上の価格を読むときは、1つの数字だけを見るのではなく、売却のどの時点にある価格なのかを区別するとわかりやすくなります。

  1. 売り出し開始:最初の売り出し価格を市場へ提示する
  2. 販売中:価格を維持する場合もあれば、価格変更を行う場合もある
  3. 成約:売主と買主が最終的な売買条件に合意する

この流れは、必ず価格が下がることを意味しません。最初の売り出し価格のまま成約する場合もあれば、販売中に価格変更を行う場合、条件交渉を経て成約する場合もあります。

販売中に価格が変わる場合がある

売り出し後、市場の反応や売主の事情等によって価格が変更されることがあります。そのため、4月に見た価格と5月に見た価格が違っていても不思議ではありません。

価格変更があっても、最初の価格設定が失敗だったとは断定できません。販売中に価格変更を検討する段階では、問い合わせや内覧状況等から売り出し価格を見直す判断を行う場合があります。

同じ価格でも販売期間によって見え方が違う

同じ4,800万円でも、販売開始直後の物件と、しばらく販売が続いている物件では状況が異なります。ただし、ポータルサイト上の掲載期間が実際の販売開始時期と一致するとは限らず、再掲載等もあるため、掲載期間だけで「長く売れていない」「価格が高すぎる」とは断定できません。売却全体の時間感覚を知りたい場合は、査定から売買契約、引き渡しまでにかかる期間をあわせて確認できます。

同じ住戸でも、見る時点で価格が変わることがある

1つの住戸を例に、売り出し価格と成約価格の違いを時系列で見てみます。次の数字はすべて説明用の架空例です。

同じ住戸でも見る時点で価格が変わる例
時点 状態 表示・合意価格 この価格の意味
2026年4月 売り出し開始 4,800万円 最初に市場へ提示した売り出し価格
2026年5月 販売中 4,650万円 価格変更後の売り出し価格
2026年6月 成約 4,520万円 売主と買主が合意した成約価格

4月に見た人は4,800万円、5月に見た人は4,650万円と認識するかもしれません。しかし、この例で実際に売買が成立したのは4,520万円です。

4,800万円、4,650万円、4,520万円は、同じ住戸に同時に付いていた3つの価格ではありません。売却の異なる時点で存在した価格です。なお、280万円の差はこの架空例だけの数字で、一般的な値下げ幅や売り出し価格と成約価格の平均差を示すものではありません。

【不動産会社の視点】売り出し価格との差が、そのまま値引き額とは限らない
この例では、当初の4,800万円と成約価格4,520万円には280万円の差があります。しかし、280万円すべてを「買主との交渉で値引きした金額」と考えるのは適切ではありません。4,800万円から4,650万円への150万円は販売中の価格変更で、その後4,520万円で成約しています。当初の売り出し価格との差、販売途中の価格変更、最終的な成約価格との差は分けて見る必要があります。

売り出し価格は「現在の競合」を見る材料

売り出し価格は、実際に売れた価格ではありませんが、相場確認に使えない情報でもありません。販売中の物件は、購入希望者がいま比較している可能性のある物件です。同じマンションや近隣マンション、似た広さ・築年数の住戸がいくらで売り出されているかを見ると、現在、購入希望者が自宅と比較する可能性のある物件とその価格を知る材料になります。

たとえば、似た条件の住戸が複数販売されていれば、購入希望者は価格だけでなく、所在階や専有面積、間取り等も含めて比較します。そのなかに自宅を当てはめて考えることで、「現在どのような物件と比較されそうか」という見方ができます。

一方、ポータルサイトに現在表示されているのは、その時点で販売中の物件です。すでに成約した物件とは性質が異なるため、販売中の5件だけを見て「このマンションの相場は4,800万円」と決めるのは不十分です。

また、販売中だからといって「売れ残り」とは限りません。販売開始直後の物件も含まれます。売り出し価格は現在の競合、成約価格は実際に成立した取引を見るための材料として、役割を分けて考えます。

ネットの価格は「価格の種類→時点→条件の近さ」で見る

ポータルサイト等でマンション価格を見つけたら、その数字を自宅へそのまま当てはめるのではなく、次の3つを見ます。

  1. 価格の種類:売り出し価格か、成約価格か
  2. 時点:その価格はいつのものか。成約事例では成約時期もあわせて見る
  3. 条件の近さ:同じマンションか、専有面積・所在階・間取り等がどの程度近いか

この3つを見ると、ネット上で見つけた1件の価格を、そのまま自宅の価格だと考えることを避けやすくなります。

成約価格については、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公開されている成約価格情報も参考にできます。ただし、自宅と条件が近いかどうかを考えず、1件の数字だけをそのまま相場にするものではありません。

なお、マンション売却ではこの2つのほかに、不動産会社が提示する査定価格も登場します。査定を受ける段階になったら、査定価格・売り出し価格・成約価格の3つが売却のなかでどのようにつながるのかを区別しておくと、査定価格を売り出し価格や成約価格と混同しにくくなります。

ネット上の売り出し価格と近い成約事例から、おおよその相場観までは持てます。ただし、所在階や専有面積、室内状態等が異なる自分の住戸の具体的な価格までは、ネット上の数字だけでは決まりません。より具体的な価格が必要になったら、不動産会社の査定価格だけでなく、その根拠も見ます。複数社を比較する必要がある場合は、一括査定も方法の1つです。


ネット価格の次は、査定価格と根拠を比較

一括査定をはじめる

参考資料