マンション売却にかかる費用。何にいくら必要?


                マンション売却にかかる費用。何にいくら必要?

マンション売却では、仲介で成約すれば仲介手数料、課税対象となる紙の売買契約書を作成すれば印紙税、住宅ローンや抵当権が残っていれば全額繰上返済手数料や登記関係費用などが発生する場合があります。ただし、すべての売主に同じ費用がかかるわけではありません。住宅ローン残債そのものも「売却費用」ではなく借入金の返済です。まず発生条件を分け、不動産会社・金融機関・司法書士等へ確認すると、売却前に必要な資金を概算できます。

マンション売却費用の全体像
費用 発生する主な条件 金額の決まり方 主な確認先
仲介手数料 不動産会社の仲介で成約した場合 売買価格等から報酬の上限額を計算 不動産会社
印紙税 課税対象となる紙の売買契約書を作成する場合 契約書に記載された金額 国税庁・不動産会社
抵当権抹消の登録免許税 抵当権を抹消する場合 登記上の不動産の個数 法務局・司法書士
司法書士報酬 司法書士へ登記手続きを依頼する場合 依頼内容・登記件数・事務所等 司法書士
住宅ローン全額繰上返済手数料等 ローン残債を全額返済する場合 金融機関・商品・手続方法等 利用金融機関
住所・氏名変更登記等 登記情報と現在の住所・氏名等が一致しない場合等 必要な登記・対象不動産・依頼内容等 法務局・司法書士
その他の追加支出 引っ越しや不要品処分等を行う場合 内容・条件・依頼先による 各業者

売却費用・ローン残債・税金は分けて考える

売主から出ていくお金をすべて「売却費用」とすると、必要な現金や手取り額を把握しにくくなります。まず、次の3つに分けてください。

売却時に差し引かれるお金の3分類
分類 主な内容 考え方
売却手続きに伴う費用 仲介手数料・印紙税・登記関係費用・全額繰上返済手数料等 この記事で確認する中心
住宅ローン残債 金融機関へ返済する借入金 売却費用ではないが手取り額に影響する
譲渡所得に対する税金 所得税・住民税等 譲渡所得が生じる場合等に別途確認する

住宅ローン残債が2,000万円あっても「売却費用が2,000万円」という意味ではありません。また、所得税・住民税が必ず発生するわけでもありません。

自分にかかる費用は4STEPで確認する

  1. 仲介で売るか確認する
    仲介で成約するなら、仲介手数料の取り決めと上限額を確認します。
  2. 売買契約書の作成方法と売買価格を確認する
    課税対象となる紙の契約書を作成するなら、印紙税を確認します。
  3. 住宅ローン・抵当権・登記情報を確認する
    全額繰上返済手数料、抵当権抹消、住所・氏名変更等の必要性を確認します。
  4. 売主の事情で追加になる支出を確認する
    引っ越し、不要品処分、任意の清掃・修理、必要書類の取得等を分けて見積もります。
譲渡所得に対する所得税・住民税等は、この4STEPとは別枠で確認します。売却価格から最終的にいくら残るかは、売却費用・住宅ローン残債・税金を分けて整理してから計算します。

仲介手数料は「上限額」を確認する

不動産会社の仲介で売買契約が成立した場合、仲介手数料が発生します。法律に基づく告示で定められているのは、不動産会社が依頼者から受け取れる報酬の上限額です。上限額そのものが一律の請求額ではありません。実際の仲介手数料は、媒介契約を結ぶ際などに不動産会社と確認します。

通常のマンション売買で売買価格が400万円を超える場合、上限額は次の簡易式で確認できます。

仲介手数料の上限額=(売買価格×3%+6万円)+消費税

たとえば、4,000万円を報酬計算の基礎とする前提では、4,000万円×3%+6万円=126万円です。消費税10%を加えると、上限額は138万6,000円になります。

これは上限額であり、必ず138万6,000円を支払うという意味ではありません。物件価格800万円以下の「低廉な空家等」には別の報酬特例もあります。支払時期も一律ではないため、実際の金額と支払時期を不動産会社へ確認してください。

紙の売買契約書を作る場合は印紙税を確認する

課税対象の不動産売買契約書を紙で作成する場合、契約書の記載金額に応じて印紙税がかかります。2026年8月現在の軽減措置は2027年3月31日までで、1,000万円超~5,000万円以下は1万円です。売買価格4,000万円を記載した課税対象の紙契約書なら1万円です。

一方、印紙税の課税対象となる「文書」に電磁的記録は含まれないため、電子契約の電磁的記録そのものには印紙税は課税されません。ただし、電子契約なら売却に関係するあらゆる税金がなくなるわけではありません。

住宅ローンと登記の状態で費用が変わる

住宅ローンの全額繰上返済手数料等

住宅ローンを売却時に全額返済する場合、全額繰上返済手数料等が発生することがあります。金融機関・商品・Web/窓口等の手続方法・契約内容で異なるため、ローン残債と全額返済時の手数料等を分けて金融機関へ確認します。

抵当権抹消の登録免許税と司法書士報酬

住宅ローン完済に伴って抵当権を抹消する場合、抵当権抹消登記の登録免許税がかかります。原則として不動産1個につき1,000円で、不動産の個数が20を超える場合は2万円です。区分所有マンションでは専有部分だけでなく、敷地権となっている土地の個数も関係します。

そのため「マンション1戸なら必ず1,000円」「一般的なマンションなら必ず2,000円」とは決められません。登記事項を確認し、対象となる不動産の個数を確認します。

司法書士へ依頼する場合は登録免許税とは別に報酬がかかります。依頼内容・登記件数・必要書類・追加手続き等で変わるため、事前に見積もりを確認します。

登記上の住所・氏名が現在と違う場合

2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名等に変更があった場合は原則2年以内の変更登記が義務です。施行前の未登記の変更も対象で、原則2028年3月31日までに対応します。個人向けの「スマート変更登記」もありますが、登記簿の情報が未更新のまますぐ売却や抵当権抹消を行う場合は別途変更登記が必要になることがあります。登記上の住所・氏名と現在情報が一致するかを早めに確認してください。

引っ越し等は売主の事情による追加支出

引っ越し、不要品処分、任意のハウスクリーニング・修理・設備交換・リフォーム等は、売主の事情による追加支出です。すべての売主に必須ではなく、固定相場を一律に加えず必要な項目だけ見積もります。

4,000万円で売却する場合も費用総額は一律に決まらない

個人の売主がマンションを4,000万円で仲介売却し、課税対象となる紙の売買契約書を作成する架空例です。住宅ローン残債と抵当権があり、登記上の住所は現在住所と一致、追加リフォームはせず、引っ越しは必要とします。

売却価格4,000万円の架空例で確認する費用
項目 この例で発生? 金額 確認方法
仲介手数料 あり 上限138万6,000円 媒介契約・不動産会社
印紙税 あり 1万円 国税庁・契約書
全額繰上返済手数料等 発生する可能性あり 金融機関等による 利用金融機関
抵当権抹消の登録免許税 あり 不動産1個につき1,000円。20個超は2万円 登記事項・法務局・司法書士
司法書士報酬 依頼する場合 見積もり 司法書士
住所・氏名変更登記 この前提では不要 登記上の情報と現在情報を照合
引っ越し あり 条件による 引っ越し業者

公式ルールから計算できるのは仲介手数料の上限額と印紙税です。そのほかは登記事項・金融機関・司法書士等への確認が必要です。無理に合計して「4,000万円なら売却費用は○万円」とはしません。

費用はいつ確認すればよい?

売却費用を確認する主な時期
時期 確認する内容 主な確認先
売却活動開始前 ローン残債・全額返済手数料、抵当権、登記上の住所・氏名等 金融機関・登記事項・法務局・司法書士
媒介契約・売買契約の前後 仲介手数料の金額・支払条件、契約書の作成方法、印紙税 不動産会社・国税庁
決済・引き渡し前後 ローン完済に伴う費用、抵当権抹消、司法書士報酬等 金融機関・司法書士
売却後 譲渡所得に対する税金が発生するか 税務署・税理士等

仲介手数料等の支払時期は取引や取り決めによって異なるため、この表は「主な確認時期」です。決済までに別途用意する現金があるかも確認しておきます。

売却前に確認しておきたい5つの質問

費用を概算するための確認事項
質問 主な確認先
仲介手数料はいくらで、いつ支払いますか? 不動産会社
売買契約は紙ですか、電子ですか?印紙税はどうなりますか? 不動産会社
住宅ローンを全額返済するときの手数料等はいくらですか? 利用金融機関
抵当権抹消以外に、売却前に必要な登記はありますか? 法務局・司法書士
司法書士報酬を含め、決済までに別途用意する現金はいくらですか? 不動産会社・司法書士・金融機関

マンション売却費用の確認チェックリスト

  • 仲介手数料の上限額と実際の取り決めを確認した
  • 仲介手数料の支払時期を確認した
  • 売買契約書が紙か電子か、印紙税はいくらか確認した
  • 住宅ローン残債と全額繰上返済手数料等を分けて確認した
  • 抵当権の有無と、抹消登記の対象不動産の個数を確認した
  • 登記上の住所・氏名と現在情報が一致しているか確認した
  • 必要な登記と司法書士報酬を確認した
  • 引っ越し等の追加支出と譲渡所得に対する税金を別枠で確認した

マンション売却の費用は「売却価格の○%」で決めるより、自分に発生する項目を1つずつ判定し、確認先から金額を集めるほうが正確です。費用を洗い出したあとは、売却価格から住宅ローン残債・売却費用・税金を分けて差し引き、売却後の手取り額を考えます。


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参考資料

  • 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
  • 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
  • 国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
  • 国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
  • 法務省「住所等変更登記の義務化」
  • 法務省「スマート変更登記のご利用方法」
  • 法務局「申請書提出前のチェックリスト(抵当権抹消用)」
  • 三井住友銀行「ローン手数料」
  • 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社
  • 池田浩一『7日でマスター 不動産がおもしろいくらいわかる本』株式会社ソーテック社
  • 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会編集『令和8年版 不動産の税金これだけガイド』