同じ地域・マンションでも価格が違う理由


                同じ地域・マンションでも価格が違う理由

同じ地域のマンションや、同じマンション内の住戸でも、価格が同じになるとは限りません。比較するときは、地域・立地→マンション全体→住戸の順に「何が同じで、何が違うか」を確認します。同じマンションの成約事例は近隣の別マンションより参考にしやすい場合がありますが、所在階・方角・専有面積・間取り・室内状態等が違えば、その価格を自宅へそのまま当てはめることはできません。共通点が多い事例ほど参考度は上がりますが、自宅の価格そのものではないと考えます。

マンション価格が違う3つの層
比較する層 主な違い 価格を見るときの注意
地域・立地 最寄り駅、駅からの距離、利便性、周辺環境、購入需要 同じ市区町村・沿線・駅でも条件は同じではない
マンション全体 築年数、規模、仕様、共用部分、管理・修繕状況 近隣マンションの価格をそのまま使わない
住戸 所在階、方角、日照、眺望、専有面積、間取り、室内状態 同じマンションでも同じ価格とは限らない

価格差は「地域・立地→マンション全体→住戸」で見る

マンション価格は1つの条件だけで決まるものではありません。比較対象を見るときは、まず地域・立地、次にマンション全体、最後に住戸という3層で条件差を整理すると、ほかの物件の価格をどこまで参考にできるか判断しやすくなります。

第1層:同じ地域でも立地条件は違う

同じ市区町村や沿線、同じ駅を利用するマンションでも、駅からの距離、周辺利便性、住宅地としての需要、周辺環境等は異なります。たとえば同じ駅でも、駅徒歩5分・築10年のマンションAと、駅徒歩12分・築25年のマンションBでは複数の条件が同時に違います。

そのため「同じ駅だから同じ相場」と横並びにはできません。立地や築年数の詳しい見方は、マンションの査定では立地・築年数はどう評価される?で整理しています。

第2層:近くてもマンション全体の条件が違う

立地が近くても、築年数、建物規模、仕様、共用部分、セキュリティ、管理状態、修繕状況等はマンションごとに違います。管理費・修繕積立金や長期修繕計画、大規模修繕等も、マンション全体を比較するときの条件です。

ただし、共用施設が多い、築年数が浅い、大規模であるといった1条件だけで優劣は決められません。近隣マンションの成約価格は地域の価格水準をつかむ参考にはなっても、自宅マンションの価格そのものではありません。

第3層:同じマンションでも住戸条件が違う

同じマンションなら、所在地、駅からの距離、築年数、建物、共用部分など多くの条件が共通します。そのため近隣の別マンションより比較対象として有用な場合があります。

一方、住戸ごとに所在階、方角、日照、眺望、専有面積、間取り、位置、室内状態等が異なります。階数・方角・間取り等の評価はマンションの査定で「階数・方角・間取り」はどう評価される?で詳しく扱っています。

同じマンション内の住戸比較(説明用の架空例)
住戸 専有面積 所在階 方角 室内状態 成約価格
A 65㎡ 3階 標準的 4,050万円
B 70㎡ 8階 標準的 4,450万円
C 72㎡ 12階 リフォーム履歴あり 4,700万円

この例でAとBに400万円の差があっても、「南向きだから400万円高い」とは言えません。専有面積、所在階、方角が同時に違い、成約した時期が違えば市場状況も異なる可能性があります。成約価格の差額を1条件だけへ帰属させないことが重要です。

比較するときは「どこまで同じ?」を順番に確認する

ほかのマンションの価格を見るときは、価格だけを比べるのではなく、自宅とどこまで条件が近いかを確認します。地域・立地から住戸条件、成約時期まで、次の順番で見ていくと比較対象としての参考度を判断しやすくなります。

STEP1:地域・立地は近いか
STEP2:マンション全体の条件は近いか
STEP3:住戸条件は近いか
STEP4:成約した時期も近いか
共通点が多いほど比較対象としての参考度は上がります。ただし、「共通点が多い=同じ価格」ではありません。

「同じ地域→同じマンション→自宅」で比べる

自宅が「70㎡・8階・南向き・築15年」だとします。次の価格・条件はすべて説明用の架空例です。

ほかの物件価格を参考にするときの見方
比較対象 主な共通点 主な違い 参考にするときの考え方
同じ駅の別マンション
72㎡・8階・築7年
5,100万円
駅・地域需要 建物、築年数、管理等 地域の価格水準を見る参考。自宅価格にはしない
同じマンション
68㎡・5階・東向き
4,200万円
立地・建物・管理等 専有面積、所在階、方角等 参考度は上がるが、住戸条件の差を確認する
同じマンション
71㎡・9階・南向き
4,550万円
立地・建物・多くの住戸条件 室内状態、成約時期等 有力な参考。ただし同額になるとは限らない

比較③は自宅に近い条件が多いため、比較①・②より参考度は高くなります。それでも、室内状態や成約時期、現在の競合物件等まで同じとは限りません。類似事例は価格を考える出発点であり、自宅の価格そのものではありません。

同じマンションの価格でも成約時期を確認する

住戸条件がかなり近くても、2023年の成約と2026年の成約では市場状況が違う場合があります。比較するときは物件条件だけでなく、いつ成約した事例かも確認します。また、目にしている価格が売り出し価格なのか成約価格なのかも区別しておきます。

㎡単価も比較の補助にはなりますが、所在階、方角、眺望、間取り、室内状態、マンション全体の条件を反映しきれません。「60万円/㎡×75㎡=4,500万円」のように、単純計算だけで自宅価格を決めないようにします。

ほかのマンション価格を自宅と比べるときの確認

気になる成約事例を見つけたら、その価格を自宅へ当てはめるまえに条件差を確認します。次の項目を見ながら、似ている条件だけでなく、異なる条件を見落としていないか確認してください。

□ 同じ地域というだけで価格をそのまま使っていない
□ 最寄り駅・駅からの距離・周辺環境を確認した
□ 築年数・建物・管理・修繕等の違いを確認した
□ 所在階・方角・専有面積・間取りを確認した
□ 室内状態が違う可能性も考えた
□ 成約した時期を確認した
□ 1条件だけで価格差の理由を決めていない
□ 同じマンションの成約価格でも自宅へそのまま当てはめていない

ほかの物件の価格は「参考材料」として使う

マンション価格を比べるときは、地域・立地→マンション全体→住戸→成約時期の順に条件を確認します。比較対象が自宅に近づくほど参考にはなりますが、同じ価格になるわけではありません。

自宅とまったく同じ条件の成約事例は見つかりにくいため、具体的な売却可能額を知りたい段階では、不動産会社の査定で自宅固有の条件まで確認する方法があります。


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参考資料

  • 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社
  • 池田浩一『7日でマスター 不動産がおもしろいくらいわかる本』株式会社ソーテック社