マンション売却で失敗する人・失敗しない人の決定的な違いとは

- 2021.04.28
- マンション売却
「近所の会社にマンションの売却を頼んだら希望価格より低い価格でしか売れなかった」「リフォームしたのに思ったほどマンションの価格が上がらなかった」など、中古マンションの売却で失敗したという話をよく聞きます。反対に、「希望の価格で売却できた」、「思ったより早く売れた」など、中古マンションの売却に成功した人もいます。
成功する人と失敗する人の違いはどこにあるのでしょうか。
中古マンション売却に失敗する理由とは
中古マンションの売却で失敗する人は多いです。これにはやはり理由があります。
売却で成功するために失敗の理由を理解しましょう。
ここではよくある失敗理由を3つご紹介します。
1.マンションの査定価格を鵜呑みにする
不動産会社は、査定の申し込みがあると同じ物件の過去の販売事例や類似物件の販売事例を参考に査定を行います。最近ではAIを使って査定する会社もあります。
特にマンションの価格を査定する場合は、同じ建物の別の部屋や近隣で取引された事例も多いため、相場がある程度決まっており、不動産会社によって大きな差は出にくいでしょう。
しかし、中には媒介契約を結ぶことを目的に、相場価格と極端にかけ離れた高い査定金額を提示する会社があります。
高い査定を出してくれる会社がいい会社だと思う人は多く、その金額で売ってくれるものだと思って専任媒介で契約してしまいます。
しかし、実際には相場価格から大きく外れている訳ですから当然売れません。
時間だけが過ぎていき、売却しないといけない時期になって、結局相場価格よりも低い価格で売るしかなくなってしまう訳です。
2.複数社から話を聞かない
不動産会社は、コンビニよりも多く、大手不動産会社もあれば、地場の中堅会社、個人でやっている町の不動産屋さんなど日本全国に約12万社あります。大手・地場でそれぞれ良さ・特性があります。
大手不動産会社は過去の取引件数も多く、情報や顧客も持っており、販売力があります。サービスも充実していて清掃の無料サービスなどを行う企業も増えています。しかし近所に大手の支店がないことも多いでしょう。遠方の大手不動産会社は地場と比較して地元の知識に乏しいことがあります。
一方で、地場の中堅会社や個人商店は、地元の事情に精通しています。細かい相場・今後の傾向等把握しているため、大手にはない利点があります。しかし、地場の不動産会社は大手と比較して販売力が弱いです。販促費用も十分にかけることができないでしょう。買主からの認知度が低いことが地場のデメリットと言えます。
このように大手・地場でメリット・デメリットが異なるため、双方から話を聞いたほうがいいでしょう。まずは様々な不動産会社から複数の査定を受けるようにし、比較検討するべきです。少数社で検討すると失敗の原因となります。
複数社から査定できるインターネットのサービスを利用するのも一つの手かもしれません。
3.効果のないリフォームをする
経年劣化で中古マンションの設備の傷みがひどい場合、リフォームをしたほうが売却価格が上がるのではないかと迷うかもしれません。
例えば、キッチンが酷く旧式のものだったり、壁紙がカビで黒ずんでいたりするなら、キッチンをグレードの高いものに変更したり、壁紙を一式取り換えたりすれば印象が改善されるでしょう。
しかし、なんでもいいからリフォームすればいいわけではありません。リフォームをしたのに売却に好影響がなければ意味がありません。無駄な機能のついたキッチンに変える。壁紙を好みの分かれる派手な色にしてしまう。このようなリフォームでは購入者を限定してしまいます。もっと悪いことに、逆効果になってしまうケースもあります。そうなってしまってはリフォーム代もかかり、売却価格も下がり本末転倒でしょう。
また、中古マンションの購入者はそもそも売主によるリフォームを期待していないことも多いです。
自らリフォームをすることを前提として中古マンションの購入を検討している買主からしたら、無駄なリフォームは不要です。
売却目的でリフォームする場合、よく内容を検討し、極力無駄なリフォームをしないように気を付けましょう。
中古マンション売却の際の注意点
では中古マンション売却に失敗しない人はどこに気を付けているのでしょうか?
売却に失敗する理由については、ある程度ご理解いただけたと思います。実際に売却する際にそれらを活かしていきましょう。
ここではよくあるトラブルに言及し、それを回避するための注意点を3つ述べていきます。
よくあるトラブル
まずはよくあるトラブル3選をご紹介します。
1.契約後に修理費を請求される
売買契約後に見つかった問題点を指摘され、「なぜ通知がなかったのか」とトラブルになってしまうことがあります。
売主は買主に対して瑕疵担保責任があり、住居の欠陥に対して責任を負わなければなりません。
想像以上の高額になり困ってしまうことも多々あります。
2.売却を任せた後、媒介契約した不動産会社の営業担当者からほとんど連絡がない
契約まではスムーズに話が進んでいたのに、契約が確定したとたん連絡が滞ることがあります。
連絡がないと、進捗状況がわからず不安になってしまうかもしれません。
そもそも販売活動をしているのか把握できない場合もあります。
本当にこの会社に任せてよかったのかなと、契約後に後悔しても手遅れです。
3.査定が相場から大きく外れている
査定の際の注意点について、詳しくはこちらをご確認ください。
提示された査定が思ったよりも高額で、気分良く契約したのに、ふたを開けてみればその金額では全然売れないというトラブルがあります。
結局安価に売却することになってしまい、不満が残るという結果になってしまいます。
マンション売却の際の注意点
ではマンション売却においてトラブルを避けるにはどこに注意すればいいのでしょうか。
ここではトラブル回避のための具体的な注意点をご紹介します。
1.情報はきちんと伝える
中古マンションの売却において、査定を依頼する際には、部屋の間取り、㎡数、洋室、和室、リフォーム履歴など、できるだけ詳細に伝えておく必要があります。
キッチンのコンロの火が付かない、壁に穴がある、窓が開きにくいなど設備の故障、不具合や近隣の騒音トラブルなどもきちんと伝えましょう。
これを言ったら売却できないのでは?と隠してしまうと、売却後に事象が発覚して修理費や損害賠償を請求されることもあります。
2.営業担当者を見極める
営業職にはノルマがあり、営業成績が評価に直結します。そのため、まずは媒介契約を結ぶことを目的に提案する営業担当者は多いです。
お客様からの要望には無理をしてでも応えようとしますし、査定価格を相場よりもかなり高い金額で出すといったこともあります。
その営業担当者が信頼できるかどうかは、話し方や仕草、話しの内容、査定価格にきちんとした裏付け資料を提示しているか、デメリットも隠さず話しているかなど、総合的に見て判断する必要があります。
また、いざ、営業担当者に売却を進めてもらう際には、物件状況報告書や設備表をきちんと作成してもらい、故障や不具合などを記載し、売却後のトラブルを防いでください。
3.自身でも相場を把握しておく
「不動産会社の営業担当者は、中古マンション販売のプロだから査定金額は問題ないだろう」と信じてしまうのは危険です。
営業担当者にも経験が高い人もいれば、新入社員もいますし、物件や地域によって得手・不得手があるので、査定金額に大きな差が出ることがあります。
極端に高い査定の場合は注意が必要で、その査定の根拠となる資料や事例がきちんとあるかについては、必ず確認すべきです。
自社で買主のあてがあり、その価格でもすぐに買いたいというケースもありますが、基本的には相場よりも高い査定価格を提示された場合は注意が必要です。
現在では、中古マンションであれば、売却事例などは直ぐに調べることができるので、過去にどのくらいの価格で売却されているかはきちんと把握しておきましょう。
注意点をふまえて査定の比較をしよう
複数社の査定ができるサービスなど利用し、査定書が出そろったらいよいよ比較検討の段階です。
これまで述べてきた注意点を踏まえ、きちんと情報を伝え、信頼できる営業担当者かしっかり判断し、ご自身で大体の相場を把握しておきましょう。
トラブルを避けるために非常に大切な段階です。この後ご紹介する中古マンション売却の失敗談も参考にして、後悔しないように行動してください。
中古マンション売却の失敗事例と失敗談
ここからは実際に起きた失敗の例をご紹介します。同様の失敗を繰り返さないように具体例から学びましょう。
1.徐々に価格を下げたことで売却が長期化
中古マンションの売却で多い失敗事例が、徐々に価格を下げていくパターンです。
なかなか売れないけど少しでも高く売りたいからと50万、100万と小刻みで下げていくと、「この物件は売れ残っている」という印象がついてしまいます。
一般的には買い手の反応を見るために、相場よりも高めで売出しますが、その間に実際にどの価格なら売却できそうか、情報を掴んでおくことが重要です。
売らないといけない時期が来たら、情報を元に下げるときは一気に下げた方が、「値下げをした」という印象を与え、売却しやすいこともあります。
2.囲い込みをされて機会損失に
不動産業界の悪しき習慣の中に囲い込みがあります。
囲い込みとは売主から売却の媒介契約を依頼された物件を、他の不動産会社に契約させないことをいいます。
都内に中古マンションを所有していた売主が、地元の不動産会社に、古くからある会社だから大丈夫だろうと専任媒介契約を結びました。ところが、なかなか話が進まないのでおかしいと思い、インターネットでサイトを見てみると、売却情報すら掲載されておらず、店頭のみで買主の募集をしていました。
さらに、その会社は契約から7営業日の掲載義務のあるレインズ(指定流通機構)にも情報を掲載していませんでした。顧客の囲い込みであることは明らかです。
レインズに掲載して他社に紹介されてしまうと、専任媒介で物件を預かっている不動産会社は、買主から手数料がもらえません。
いわゆる両手取引ができなくなります。
その他に、レインズに掲載しても他社にポータルサイトなどへの広告をさせない、商談中なので紹介できないと嘘をつくなど、自社へ顧客が来るように妨害工作を行う業者もいます。
他の不動産会社に条件に合う顧客が来ても、自身の物件が紹介されないと機会損失になります。
3.使えると思っていた税制優遇が使えない
中古マンションの売買時に、よく活用する税制優遇には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。
しかし、購入して入居した年、その前年、または前々年にこの特例を使っていると利用できません。
通常は、営業担当者がこういった税制優遇についてはアドバイスしてくれますが、税制知識のない方だと情報を提供してくれないこともあります。
具体的な税額等は、税理士でないとアドバイスはできませんので、税制優遇については、自分自身でも使えるかどうかをきちんと調べて、わからない場合は営業担当者を通じて、税理士を紹介してもらうなどしてください。