マンション売却にかかる期間。いつから動き始めればよい?
- 2026.08.25
- マンション売却の基本
マンション売却の期間は、「売り出してから買主が決まるまで」だけではありません。査定を頼み、不動産会社を選び、売り出したあとに買主を探し、売買契約を結び、最後に決済と引き渡しを行います。査定から決済・引き渡しまでの売却全体の流れを含めて考える必要があります。
特に、売り出してから売買契約までの期間は、価格や需要、競合物件、住戸条件などによって変わります。「平均何か月」という数字だけを見て開始時期を決めると、予定より遅れることもあります。希望する引き渡し時期があるなら、その日をゴールにして、いつから動くかを逆算するのが基本です。
まず見ておきたいのは、売却のどこに時間がかかるのかです。売却開始から引き渡しまでを3つに分けると、希望する時期からどこまでさかのぼって考えればよいのかが見えやすくなります。
| 区間 | 主な内容 | 期間が変わる主な理由 |
|---|---|---|
| 売り出すまで | 査定・不動産会社比較・媒介契約・販売準備 | 会社選びや売主の準備状況 |
| 売り出し~売買契約 | 広告・問い合わせ・内覧・購入申込・条件調整 | 価格・需要・競合物件・住戸条件・購入希望者の反応 |
| 売買契約~引き渡し | 決済準備・残代金決済・登記関連手続き・鍵の引き渡し | 契約条件・買主の資金計画・売主側の準備など |
マンション売却は3つの期間に分けて考える
最初の「売り出すまで」は、査定を受け、不動産会社を比べ、売却方針を決めて販売を始めるまでの期間です。査定を何社へ頼むか、必要な書類がそろっているか、不動産会社との打ち合わせをどのくらいのペースで進められるかによっても変わります。
3区間のなかでも、もっとも予定を立てにくいのが売り出してから売買契約までです。購入希望者がいつ現れるかは、実際に売り出してみなければわかりません。売り出し価格だけでなく、その時点での需要や競合物件、住戸条件、問い合わせや内覧の反応によっても期間は変わります。
そして、売買契約まで進んでも売却はまだ終わりではありません。残代金の決済、住宅ローンが残っている場合の手続き、登記関連手続き、鍵の引き渡しなどが残っています。希望する時期までに売却を終えたいなら、売買契約日ではなく引き渡し日をゴールにして考えます。
REINS登録から成約までの参考データは82.6日
では、売り出してから買主が決まるまでには、実際どのくらいかかるのでしょうか。参考になるのがREINS(レインズ)の統計です。ただし、82.6日という数字をそのまま「マンション売却にかかる期間」と考えることはできません。次の図を見ると、この数字が売却全体のどこを示しているのかがわかります。

公益財団法人 東日本不動産流通機構が2026年4月に公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2025年度)」では、首都圏の中古マンションで「登録から成約に至る日数」は82.6日でした。対象期間は2025年4月~2026年3月で、REINSへの登録から成約までにかかった日数を示しています。
つまり、この82.6日には、査定や不動産会社選びなどREINSへ登録するまえの時間は含まれていません。成約したあとの決済・引き渡しまでの時間も別です。さらに首都圏の中古マンションを対象とした数字なので、全国のマンションや、売却する住戸へそのまま当てはめることもできません。
82.6日は、販売にどのくらい時間がかかるかを見るための参考値と考えるのが適切です。希望する引き渡し日から開始時期を決めるときは、82.6日だけを差し引くのではなく、その前後にも時間が必要だと考えておきます。
マンション売却が予定より長くなる主な要因
82.6日より長くかかったからといって、すぐに「売れないマンションなのでは」と考える必要はありません。問い合わせが少ないのか、内覧までは進んでいるのか、購入申込後の条件調整に時間がかかっているのかでも事情は違います。予定より時間がかかっているときに、どこへ目を向ければよいのかを見るための目安が次の表です。
| 要因 | なぜ期間に影響するか | 売主が見るところ |
|---|---|---|
| 売り出し価格 | 現在の需要や競合物件とのずれで、問い合わせや内覧の反応が変わる | 価格だけでなく問い合わせ・内覧状況も見る |
| 競合物件と需要 | 同時期に比較される物件や購入希望者の動きは一定ではない | 近い条件の売り出し状況と市場の反応を見る |
| 住戸条件 | 所在階・方角・間取り・専有面積などによって検討する購入希望者の範囲が変わる | どのような購入希望者から比較されやすい住戸かを見る |
| 内覧対応 | 購入希望者との日程が合わなければ、検討してもらう機会が減る | 内覧へ対応できる日時や方法を見直す |
| 購入申込後の条件調整 | 価格や引き渡し時期などの条件が合わなければ、契約まで進まないことがある | 譲れない条件と調整できる条件を分けて考える |
| 買主の資金計画 | 住宅ローンなどの手続きが契約条件や日程に関係する場合がある | 購入申込の条件や今後の予定を不動産会社へ聞く |
大事なのは、「売り出してから何日たったか」だけを見ないことです。問い合わせが入っているのに内覧へ進まない場合と、内覧は入るのに購入申込がない場合では、同じ2か月でも意味が違います。
池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』でも、成約価格だけを見るのではなく、販売開始後の問い合わせや案内依頼、成約までの期間、競合物件などを見ることが挙げられています。どれだけ時間がたったかとあわせて、その間に購入希望者からどのような反応があったのかを見ると、販売状況を判断しやすくなります。
希望する引き渡し日から逆算して始める
では、実際にはいつから動き始めればよいのでしょうか。開始日を先に決めるのではなく、希望する引き渡し日を先に置き、そこから査定を始める時期まで戻って考えます。次の図は、その順番を逆方向に見たものです。

ここで各工程の日数を細かく足し引きして、開始日を1日に決める必要はありません。特に販売活動は、購入希望者がいつ現れるかによって期間が変わります。希望する引き渡し時期が決まっているほど、販売期間が予定より長くなる可能性も見込んで、査定や不動産会社比較を早めに始めることが大切です。
年末までに引き渡したいAさんの例
たとえばAさんが8月の時点で、「年末までにはマンションを引き渡したい」と考えているとします。
REINSの82.6日だけを見ると、その日数から売り出し時期を逆算したくなります。しかし、Aさんのマンションが82.6日で成約する保証はありません。売り出すまえには査定や不動産会社選びがあり、成約したあとにも決済や引き渡しの準備があります。
そこでAさんは、「年末から82.6日前に売り出せばよい」とは考えず、8月の段階から査定を受け、不動産会社へ年末までに引き渡したいことを伝えて、販売計画を聞いてみることにします。
もちろん、8月に始めれば必ず年末までに売却できるという意味ではありません。この例で見てほしいのは、平均日数から開始日を機械的に決めるのではなく、期限があるなら余裕を持って動き始めるという点です。
期限があるなら不動産会社へ早めに伝える
転居や住み替えなどで希望する引き渡し時期が決まっているなら、査定や売却相談の段階で不動産会社へ伝えておきます。「できれば年内」「○月末までには引き渡したい」など、時期がわかれば、不動産会社もその期限を踏まえて販売期間や売り出し方を考えられます。
期限を優先すると、価格との兼ね合いも出てきます。時間をかけて高値を目指すのか、一定の価格調整も考えて期限を優先するのかで、販売方針は変わります。価格と売却の早さのどちらを優先するかを判断するときのポイントも、期限がある場合にはあわせて見ておきたいところです。
また、一般の購入希望者を探す仲介と、不動産会社が直接買主となる買取では、売却までの進み方が違います。期限との関係から売却方法そのものを考えたい場合は、仲介と買取の違いと選び方を比べると、自分の場合にどちらが合うか判断しやすくなります。ただし、買取であれば必ず何日で終わるという固定日数があるわけではありません。
まず査定と販売計画を聞いてみる
希望する引き渡し時期があるなら、「マンション売却には平均何か月か」だけを調べても、自分がいつから動けばよいかまでは決まりません。マンションごとに価格や購入希望者の動きが違うからです。
まだ売り出すまえであれば、まず査定を受けて、査定価格だけでなく「この価格ならどのくらいの販売期間を見込んでいるか」「期限がある場合はどのように売るつもりか」まで聞いてみます。不動産会社によって見立てが違う場合は、その理由も比べてみると、自分がいつから動くべきかが見えやすくなります。
まだどの査定を受けるか決めていない場合は、AI査定・机上査定・訪問査定の違いと使い分けを知っておくと、現在の段階に合う方法を選びやすくなります。
参考資料
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年度)」
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「住まいを売りたい」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社