投資用マンションの売却方法を紹介。売却のタイミングや残債なども解説

- 2021.10.07
- マンション売却
投資用マンションの売却は、タイミングが非常に重要です。
投資用マンションの売却の流れ、売却のタイミング、売却にかかる諸費用を確認して、早めに準備を始めましょう。
新型コロナウイルスが、投資用マンションの売却に与える影響についても解説しています。
投資用マンション売却の流れ
投資用マンションの売却の流れを解説します。通常の不動産を売却する流れとほとんど同じですが、異なる点がいくつかあります。
売却の事前準備
投資用マンションの売却を検討し始めたら、事前準備を行いい ましょう。投資用マンションの入居者に対して、事前に売却の了承を取る必要はありません。
事前準備ですることは以下の2つです。
- 管理会社への連絡
- マンション売却時に必要な書類の用意
管理会社への連絡
管理会社に売却の連絡をして、売却前にすることは 、以下の2つです。
- 資格喪失届の提出
- 管理費・修繕積立金の精算
資格喪失届は、マンションの管理会社に決済直後に提出します。売主と買主の署名が必要です。
管理費・修繕積立金は先払いのため、日割り計算を行い精算します。決済日に、売却金額とともに精算金額を入金してもらいます。
これら2つは、マンション売却後に行うことです。ただ、事前に連絡を入れて、提出方法や精算の仕方などを確認しておいて、スムーズに売却できるように準備しましょう。
必要書類の準備
投資用マンション売却の際に必要な書類には、入手に手間がかかる書類があります。余裕をもって用意しましょう。
以下が、投資用マンション売却の際に必要な書類です。
- 身分証明書
- 印鑑登録証明書および実印
- 登記済権利書または登記識別情報
- キャッシュカードまたは銀行通帳
- マンションの管理規約・管理費・維持費等
- 重要事項に関する調査書
- ローン残高証明書
- 固定資産税納税通知
マンション売却の必要書類について、詳しくはこちらを確認してください。
不動産会社に売却を依頼する
事前準備をした後、投資用マンションの売却を不動産会社に依頼します。
複数の会社に査定してもらい、売却活動を依頼する不動産会社を決めましょう。
不動産の価格の算出方法には、「収益還元法」「積算法」「比較事例法」の3つがあります。
以下が、不動産価格算出法の3種類の特徴です。
主な使用場面 | 特徴 | |
---|---|---|
収益還元法 | 投資用物件 | 物件の稼ぐ力を計る |
積算法 | 銀行の不動産評価 | 路線価や公示価格を積算する |
取引事例比較法 | 中古住宅の評価 | 似ている不動産や取引事例と比較して算出 |
投資用マンションなどの物件の査定は、収益還元法で算出します。
収益還元法を用いて、投資用マンションの将来的な価値を査定価格として提示されます。
投資用物件の価格算出に使われる収益還元法は、物件の稼ぐ力を計ります。
物件が稼ぐとは、その物件が将来的に利益を生み出すということです。
収益還元法は、「直接還元法」と「DCF法」の2種類に分かれます。直接還元法は比較的簡単なため、よく使われます。DCF法は、不動産の将来価値を複雑な計算で算出します。
直接還元法では、1年間の利益を還元利回りで割ります。そのため、以下のような計算式です。
還元利回りは、物件がもたらす投資に対する収益の割合です。エリアや物件の種類ごとに投資家が期待する利回りで計算します。
不動産会社からの査定をもとに、不動産会社にマンション売却の依頼をします。売却の依頼には、媒介契約を締結します。媒介契約には、「一番媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
媒介契約の詳しい解説は、こちらを確認してください。
売却活動中
媒介契約を締結すると、不動産会社が売却活動を開始します。マンションを売却する際には、購入希望者が内覧で訪れます。
しかし、投資用マンションの場合、入居者がいる場合があります。
入居者がいる場合は、内覧ができないため、部屋の修理履歴がわかる書類を用意して、購入希望者の信頼を得ましょう。
空室がある場合は、購入希望者が気持ちよく内覧できるように準備しましょう。
内覧の際の注意点については、こちらをご確認ください。
売買契約の締結
買主が決まったら、売買契約を締結します。
その際に、「売買契約書」「物件状況報告書」「設備表」の読み合わせを行います。その後、売主、買主が署名・捺印を行い、契約成立です。
決済と引き渡し
買主から売買代金の支払が完了すると、マンションの書類などを渡し、売却完了です。
売買代金のほかに、マンションの管理費・修繕積立金の精算も行います。
決済したら、マンションの管理会社に資格喪失届を提出しましょう。
売却後の入居者への連絡
入居者がいる場合でも、所有者は自由に売却ができます。しかし、法的な義務はありませんが、家賃の振込先の変更など通知するために、通知書を出すことが一般的です。買主に引き渡されたことを通知する「賃貸人の変更通知書」で入居者に通知します。
確定申告
投資用マンションの売却後、確定申告を行います。
まず、投資用マンション売却後に課税対象となる、譲渡所得を計算しましょう。
譲渡所得 = 売却代金 ― 売却にかかった諸費用 ― 特別控除(自宅を売却した際は、3,000万円)
譲渡所得がプラスの場合、給与以外の所得になるため、会社員でも別途で確定申告・納税が必要です。
確定申告を忘れた・故意にしなかった場合は、税務署から問い合わせと調査が入ります。延滞税という罰則がありますので、忘れずに確定申告をしましょう。
譲渡所得がマイナスの場合、所得が減るため、所得税や住民税が減税されます。そのため、義務ではありませんが、確定申告をして節税することをおすすめします。
以上が、投資用マンションの売却の流れです。売却のための準備から確定申告まで手順が多いため、きちんと把握して余裕をもって売却できるようにしましょう。
投資用マンションの売却は、タイミングが非常に重要です。適切なタイミングについて、次に説明します。
投資用マンションを売却するタイミング
投資用マンションの売却に適切なタイミングを見極めるためには、市場の動向やマンション相場など、さまざまな要素があります。ここでは、投資用マンションの売却におすすめなタイミングを紹介します。
また、新型コロナウイルスによる、投資用マンション市場への影響も解説します。
現在の中古マンション市場の動向
現在の中古マンション市場は、好調です。超低金利状態によって、ローンの金利が低く投資が促されています。その効果で、中古マンションを含めた不動産の需要が高まっています。
引用:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」
上のグラフは、全国の不動産価格指数です。2010年を100として表しています。マンションは、年々価格の上昇を続けています。住宅全体でも上昇しており、不動産市場は好調です。
引用:国土交通省「不動産取引件数」
上のグラフは、全国のマンションの取引件数の推移です。年々取引件数が、増加しています。
以上のことから、マンション市場は拡大しているといえます。この先、価格の高騰を受け、新築マンションよりも安い中古マンションの需要が高まっていくと予想できます。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言によって、経済全体が停滞しました。
マンション市場にはどのような影響を及ぼしたのでしょうか。
まずは、中古マンションの成約件数から見ていきます。
引用:全国宅地建物取引業協会連合会「不動産市場動向調査8月」
上のグラフから分かるように、2020年の5月頃に緊急事態宣言を出され、成約件数が大きく減少しています。
しかし、その後成約件数が復調しています。
外出自粛によって在宅時間が増え、住環境の整備に意欲的な人が増えたためだと考えられます。
次に、中古マンションの新規登録件数と平均単価について見ていきます。
引用:全国宅地建物取引業協会連合会「不動産市場動向調査8月」
新規登録件数が減少を続け、平均単価が継続的に上昇しています。
中古マンションの需要が高い状態で、供給量が減少し、価格が上昇しています。新型コロナウイルスの影響を危惧して、マンションの売りを控える人が増えたからだと考えられます。。
住環境の整備のためにマンションの需要が高まる中、供給数が減少し、価格が高騰化しています。そのため、まさに今、投資用マンションの売りどきです。
この期を逃さずに、投資用マンションを売却することをおすすめします。
投資用マンションを売却するおすすめのタイミング
投資用マンションを売却するタイミングは、いくつかあります。売却理由ごとに、それぞれのおすすめのタイミングを紹介します。
- マンション価格が高い時
- 月々の収支がマイナスな時
- 減価償却期間の終了時
マンション価格が高い時
不動産の投資には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類あります。
インカムゲインとは、アパートやマンションなどの賃貸物件を経営して家賃収入で長期的に利益を得ることです。
キャピタルゲインとは、不動産の価格変動を予測し、低価格で取得し高値で売却してその差額分で利益を得ることです。
その中でも特にキャピタルゲインでは、マンションの売却価格が重要です。不動産の価格は、投資用マンションを扱っている物件情報サイト の売り出し価格や、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の不動産市場動向を見て確認できます。また、国税庁が毎年発表する路線価の推移も確認しましょう。路線価は、土地の公的価格の1つで、国税庁が定める相続税評価額です。
これらのマンション価格が低いときに購入し、価格が上がりきったタイミングで売却することで利益を得られます。価格の推移の判断は難しく、非常に難易度が高い不動産投資の1つです。
不動産会社の担当営業と相談しながら、売却のタイミングを判断することで、利益を最大化しましょう。
月々の収支がマイナスな時
マンションを所有していると、維持費や諸経費などさまざまな支出があります。そのため、入居率が低下して収入が下がると、収支がマイナスになることがあります。中長期的に資金計画を立て、キャッシュフローがマイナスに転じる可能性が出る前に売却を検討しましょう。
自分の所有しているマンションの収支を計算して、マイナスの場合、マイナスになる可能性が高い場合は、速やかに不動産会社に相談して、売却に向けて動き出しましょう。
減価償却期間の終了時
投資用マンションを購入した支出は、減価償却費として計上されます。減価償却費は所得から控除され、所得税や住民税が減税されます。定められた減価償却の期間が終了すると、所得税や住民税が増額されてしまいます。
減価償却期間終了は、売却するタイミングのひとつです。税金対策として検討しましょう。
ローンの残債がある状態で投資用マンションの売却はできる?
ローンの残債がある場合でも、売却はできます。
ただし、売却する前に、抵当権を抹消する必要があります。抵当権は、住宅ローンを借りる際に、購入するマンションに金融機関が設定する権利です。抵当権を持つ金融機関は、住宅ローンの返済が滞った際に、マンションを差し押さえできます。マンションの売却金でも完済できない場合は、自己資金を使って完済します。
マンションの売却金と自己資金でも、住宅ローンの完済ができない場合、任意売却をします。任意売却は、売却後に住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。
ローンの残高とマンションの査定価格を調べ、資金計画を立ててから、売却の準備に取り掛かりましょう。
投資用マンションを売却する際にかかる費用や税金
投資用マンション売却の際には、利益だけでなく、税金や諸費用などの費用がかかります。
そのため、投資用マンションを売却する際は、出費を想定して資金計画を立てる必要があります。
マンション売却にかかる費用について、詳しくはこちらからご確認ください。
売却にかかる税金
マンション売却時には、以下のような税金が発生します。
- 所得税と住民税
- 印紙税
- 登録免許税
その他にも、 固定資産税・都市計画税の精算料や消費税がかかることがあります。
固定資産税・都市計画税は、売主と買主で日割り計算を行い、精算します。
消費税は、通常かかりませんが、「2年前の課税売上が1,000万円を超えている事業者」の場合は消費税がかかります。はじめて消費税を課税する際は、税務署から事前通知が来ますので、確認しましょう。
所得税・住民税、印紙税、登録免許税について詳しく解説します。
所得税と住民税
マンションの売却代金から、経費に計上できるいくつかの項目を差し引いて計算した所得を、譲渡所得といいます。所得税および住民税は、この譲渡所得に対して課せられる税金です。
譲渡所得は、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2種類あります。
短期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在でマンションの所有期間が5年以下の場合で、譲渡所得の39%が所得税および住民税として課税されます。
長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在でマンションの所有期間が5年超の場合で、譲渡所得の20%が所得税および住民税として課税されます。
なお、税額は確定申告によって決まるため、売却した翌年に支払いが発生します。
印紙税
印紙税は買主と締結する売買契約書にかかる税金です。印紙税は、収入印紙の購入により納付できます。契約書に貼付することで効力をもち、納税額は、契約書に記載された金額に応じて定められています。
売買契約金額 | 印紙税額(円) |
---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 200 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 500 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 1,000 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 5,000 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 10,000 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 30,000 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 60,000 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 160,000 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 320,000 |
50億円を超えるもの | 480,000 |
なお、収入印紙が貼られていない場合、契約自体は有効になりますが、過多税として印紙税の額とその2倍に相当する金額の合計、つまり印紙税額の3倍が徴収されることがあるので注意してください。
登録免許税
登録免許税は、登記に関する税金です。法務局で管理される登記簿の内容を変更する際に、不動産1戸(筆)の抵当権抹消につき1,000円 が課税されます。
売却にかかる費用
投資用マンションにかかる費用には、主に4種類あります 。
- 仲介手数料
- 住宅ローン費用
- 賃貸管理解約違約金
- 預かり敷金
売却する物件によっては、かかる費用が莫大になります。事前にどの程度かかるか確認しましょう。
仲介手数料
不動産会社はマンションを売却するためにさまざまなサポートをしてくれます。売却を成立させてくれた不動産会社には報酬として手数料を支払います。それを仲介手数料といいます。
仲介手数料には、宅地建物取引業法で売買価格に応じた限度額が定められています。
以下は、仲介手数料の限度額の簡易的な計算方法です。
売買価格 | 限度額 |
---|---|
売買価格200万円以下 | 売買価格×5% |
売買価格200万円超~400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 |
売買価格400万円超 | 売買価格×3%+6万円 |
例えば、不動産会社が媒介契約に基づき、マンションの売買契約を税込2,200万円で成立させた場合の仲介手数料の上限額は、以下の通りです。
2,000万円(税抜)×3%+6万円=66万円(税抜)
ただし、上記はあくまでも限度額であり、必ずしも上記金額が発生するというわけではありません。業務内容に照らし合わせて仲介手数料が高いと思う場合は、不動産会社と協議することも可能です。
住宅ローン費用
売却するマンションに住宅ローンの残債がある場合、売却する際に残債を一括返済する必要があります。これに関して、以下の費用がかかる場合があります。
- 住宅ローンの全額を繰上返済する際にかかる手数料
- 司法書士報酬
ほとんどの金融機関では、一括返済に対して手数料がかかるため、あらかじめ確認するようにしましょう。
住宅ローン完済後には、マンションに設定された抵当権を抹消します。 登記手続きでは、司法書士に依頼する方法もあります。その際に、司法書士報酬として、1~2万円程度の費用が発生します。
賃貸管理解約違約金
投資用マンション売却時に賃貸管理解約違約金が発生することがあります。マンション購入時に結んだ管理委託契約書に記載がある場合は、支払う必要があります。
家賃の1カ月から半年分程度が費用の目安です。
管理委託契約書を確認して、支払う必要がある際は、事前に準備しましょう。
預かり敷金
入居者から預かっている敷金を買主に引き継ぎます。一般的には、敷金は家賃の1カ月分です。
賃貸管理会社が預かっている場合もあるので、確認して忘れずに引き継ぎましょう。
投資用マンションの売却を検討し始めたら不動産会社に相談しましょう
投資用マンション売却は、売却するタイミングの判断が非常に難しいです。自分だけで判断のでなく、不動産会社のプロからの意見も参考にしましょう。事情に合わせた適切なアドバイスをしてもらえます。
ただ、相談する不動産会社選びによって、適切なアドバイスが望めないこともあります。
投資用マンションの売却を多く扱った実績のある不動産会社に相談するとようにしましょう。過去の事例を基に、事情に応じた対応を望めます。
信頼できる不動産会社を選ぶためには、一括査定サイトの利用をおすすめします。
一括査定サイトは、物件の簡単な情報を入力すれば、一括で複数の不動産会社に査定の依頼と相談ができます。