離婚でマンションは売る?住み続ける?判断のポイント
- 2026.09.09
- 状況別マンション売却
離婚するとき、マンションを売るか一方が住み続けるかは、現在どちらが住んでいるかだけでは決められません。最初に確認したいのは、登記上の所有名義、住宅ローンを誰が借りているか・誰が保証人等になっているか、売却した場合に手元に残る金額です。
夫婦間で「一方が住み続ける」「今後は住む側のものにする」「もう一方が住宅ローンを払い続ける」と合意しても、その内容に合わせて不動産登記や住宅ローン契約が自動的に変わるわけではありません。
最初に名義と住宅ローンを確認し、次に現在いくらで売れそうかを見ると、「マンションを売る」「一方が住み続ける」のどちらを考えられるかが見えてきます。
| まず見ること | 確認する内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 所有名義 | 単独名義か共有名義か。共有なら持分はどうなっているか | 売却や所有権移転に誰が関わる必要があるかを知るため |
| 住宅ローン | 誰が債務者・連帯債務者・連帯保証人になっているか、住宅ローンがいくら残っているか | 離婚後も誰に返済義務等が残るのかを知るため |
| 売却した場合の金額 | 売却見込み額から住宅ローン残債や売却費用を差し引くと、どの程度残るか | 売却代金で住宅ローンを完済でき、手元にどの程度残るかを見るため |
| 離婚後の住まい | 双方とも退去するのか、一方が住み続ける必要があるのか | 売却と居住継続のどちらを考えるか決めるため |
所有名義と住宅ローンは別々に見る
離婚時に最初に区別したいのが、「マンションを誰が所有しているか」と「住宅ローンについて誰が返済義務等を負っているか」は別の問題だという点です。
マンションが夫婦の共有名義でも、住宅ローンの組み方によって債務者や連帯債務者、連帯保証人等は異なります。反対に、マンションが一方の単独名義でも、もう一方が住宅ローンの連帯債務者や連帯保証人になっていることがあります。
また、登記上の所有名義だけを見て、財産分与の対象になるかを決めることもできません。夫婦の一方の名義であっても、婚姻中に夫婦の協力によって取得・維持した財産であれば、財産分与の対象になる場合があります。
一方、婚姻前から所有していた財産や、婚姻中でも相続・贈与によって取得した財産は、原則として夫婦が婚姻中に協力して築いた財産とは分けて考えます。実際にどの財産が財産分与の対象になるかは、取得時期や資金の出所など個別の事情によって異なります。
「誰が住むか」を決めただけで、所有名義や住宅ローン上の債務者等まで自動的に変わるわけではありません。
売却するか、一方が住み続けるかを考える
名義と住宅ローンの状況がわかったら、離婚後もマンションに住み続ける必要があるかを考えます。
マンションを売却する場合
双方ともマンションへ住み続ける必要がなく、共有名義や住宅ローンの問題を離婚後まで残したくない場合は、売却することが選択肢になります。
売却する場合にまず確認したいのは、現在のマンションを売った代金で住宅ローンを完済できるかです。
住宅ローンが残っているマンションを売る場合に、残債と売却見込み額をどのように比べるかは、住宅ローン残債と売却見込み額から、そのまま売却できるか確認する方法で確認できます。
どちらか一方が住み続ける場合
一方がマンションへ住み続ける必要がある場合は、「住みたい人がいる」という事情だけでは決められません。
少なくとも、現在の所有名義、もう一方が持っている持分をどうするか、住宅ローンの債務者・連帯債務者・連帯保証人等を確認します。住み続ける人と現在の所有者や住宅ローンの債務者が異なる場合は、所有名義を変更する必要があるのか、住宅ローンを引き継いだり契約を変更したりできるのかも確認する必要があります。
さらに、一方が住み続ける場合は、住宅ローンや管理費・修繕積立金等を今後誰が支払い、その負担を続けられるかも考える必要があります。住宅ローンを引き継ぐために債務者変更や借り換えが必要になれば、金融機関の審査や承諾が関係します。
夫婦だけで「今後は住み続ける側が住宅ローンを引き継ぐ」と決めても、それだけで金融機関との契約が変わるわけではありません。債務者の変更、債務の引き継ぎ、借り換え等が可能かは、現在借りている金融機関へ確認する必要があります。
特に、住み続ける人とは別の元配偶者が住宅ローンを返済し続ける場合は、その返済に住まいを頼ることになります。将来返済が滞れば、住み続けることが難しくなる可能性もあります。そのため、離婚後も現在の返済方法を続けるのか、債務者変更や借り換えが可能なのかを確認しておくことが重要です。
共有名義のマンションを売るなら夫婦双方の同意が必要
マンションが夫婦2人の共有名義になっている場合、マンション全体を売却するには、双方が売却に同意する必要があります。
離婚時には「売ること自体には賛成しているが、価格や時期では意見が違う」ということもあります。不動産会社へ売却を依頼するまえに、少なくとも次の点は夫婦で話し合っておくと進めやすくなります。
- マンションを売却することに双方が同意しているか
- いつごろまでに売りたいか
- 不動産会社との連絡を主に誰が行うか
- いつ退去し、いつ引き渡すか
共有持分だけを売る場合や、一方が売却そのものに反対している場合などは別の法律上・実務上の論点があります。この記事では、離婚時に「売却するか、一方が住み続けるか」を決めるために必要な範囲にとどめます。
マンションを売却するなら成約価格ではなく手元に残る金額を見る
離婚時にマンションを売却する場合、「4,500万円で売れたから2,250万円ずつ分ける」と単純に考えることはできません。
たとえば成約価格が4,500万円、住宅ローン残債が2,500万円なら、住宅ローンを返済した段階では2,000万円ですが、実際にはここから仲介手数料等の売却費用も差し引かれます。
譲渡所得に対する税金が生じる場合は、売却時に支払う費用とは別に、後日の納税分も見込んでおく必要があります。
具体的に売却後どの程度の金額が残るかは、成約価格から住宅ローン残債や売却費用を差し引き、売却後の手取りを計算する方法で確認できます。
そのうえで、残ったお金を夫婦間でどのように分けるかは、婚姻中の財産形成など個別の事情を含む財産分与の問題です。登記上の持分や売却後に残った金額だけで、分け方が決まるわけではありません。
また、マンションを売却せず、一方へ持分や所有権そのものを財産分与する場合は税務上の注意も必要です。不動産そのものを財産分与で相手へ渡した場合、渡した側に譲渡所得の課税が生じることがあります。一方、受け取る側には通常、財産分与を理由とする贈与税はかかりません。ただし、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産の額などを考えても、財産分与として多すぎる部分には贈与税がかかることがあります。
実際の財産分与の範囲や分け方、所有権移転、税務上の扱いは個別事情によって異なります。必要に応じて弁護士・司法書士・税理士等へ確認してください。
まだ決められないなら名義・残債・売却相場を先に調べる
「売ったほうがよいのか、どちらかが住み続けたほうがよいのかわからない」という場合は、名義、住宅ローン残債、いくらで売れそうかを先に調べます。
- 登記事項証明書等で所有名義と持分を確認する
- 住宅ローンの債務者・保証関係と現在の残債を確認する
- 現在のマンションがいくらくらいで売れそうか確認する
- 売却した場合に住宅ローンや売却費用を差し引いてどの程度残るか計算する
おおよその売却相場がまだわからない場合は、まずマンションのおおよその売却相場を確認する方法から見ていくと進めやすくなります。
- 双方とも住み続ける必要がなく、売却代金で住宅ローンを完済できる見込みがある → 売却を検討
- 一方が住み続ける必要がある → 住宅ローンについて金融機関へ確認し、所有名義を変える必要がある場合は登記や財産分与の手続きも確認
- 住宅ローン残債やいくらで売れそうかがわからない → まだ売るか住み続けるかを決めず、先に必要な情報を調べる
売却することが決まったら、査定から売買契約、決済・引き渡しまでのマンション売却全体の流れを確認しておくと、次に何をするか把握できます。
一方、名義と住宅ローン残債はわかっていても、現在いくらで売れそうかわからないため売るか住み続けるかを決められない場合は、査定価格が判断の材料になります。複数社へ依頼する場合も、査定価格の高さだけではなく、その根拠を比較してください。
参考資料