マンション売却後の手取りはいくら?計算する方法
- 2026.08.26
- 費用・税金・売却手続き
マンションが4,000万円で売れても、4,000万円がそのまま手元に残るわけではありません。住宅ローンが残っていれば完済分を差し引き、仲介手数料等の売却費用、さらに売却に伴う税金が発生する場合はその税額も見込みます。基本は「売却価格-住宅ローン残債-売却費用-税金=手取り額」です。税額がまだわからない場合は0円とせず、まず税金を除く金額まで試算し、最終的に使える資金は税金を確認してから考えるようにします。
マンション売却の手取りは4つの数字で考える
手取り額を概算するために集める数字は、想定する売却価格、住宅ローン残債、売却費用、売却に伴う税金の4つです。
売却価格-住宅ローン残債-売却費用-税金=手取り額
ただし、売却前は成約価格も税額も確定していません。そこで、最初から1つの最終手取りを決めるのではなく、まず税金を除く概算を出し、その後に税金を確認する2段階で考えると整理しやすくなります。
手取り額と譲渡所得は別の計算
手取り額は資金計画のための金額、譲渡所得は税金を計算するための税務上の所得です。住宅ローン残債は手取り計算では差し引きますが、そのまま譲渡所得から差し引くものではありません。
| 項目 | 手取り額 | 譲渡所得 |
|---|---|---|
| 目的 | 売却後に残る資金を考える | 売却に伴う税金を計算する |
| 住宅ローン残債 | 差し引く | そのまま差し引かない |
| 売却時の支出 | 実際に負担する売却費用を差し引く | 税務上の譲渡費用に該当するものが関係する |
| 購入時の価格等 | 通常は直接差し引かない | 取得費として関係する |
| 使う場面 | 売却後の資金計画 | 所得税・住民税等の計算 |
日常的にいう「売却費用」と、税務上の「譲渡費用」は同じ範囲とは限りません。税務上の譲渡費用は、売却するために直接かかった費用を中心に判断されます。購入価格も手取りから直接差し引くのではなく、税務上は取得費の計算に関係します。
まず税金を除く概算、そのあと最終手取りを考える
売却前は、取得費・譲渡費用・所有期間・税制特例等を確認しないと、税額が決まらない場合があります。税金がわからないからといって0円にせず、「未確認」として残します。
第1段階
売却価格-住宅ローン残債-売却費用=税金を除く手取り概算
第2段階
税金を除く手取り概算-発生する税金=最終的な手取り概算
手取り額を4STEPで概算する
各項目は、次の順番で確認します。
- 想定する売却価格を決める:売却前は、査定価格や相場、販売状況をもとに想定成約価格を置きます。売り出し価格をそのまま確定価格として使いません。
- 住宅ローン残債を確認する:住宅ローンが残っていれば差し引きます。決済日が決まった段階では、全額返済に必要な金額を利用中の金融機関へ確認します。完済済みなら0円です。
- 売却費用を確認する:仲介手数料、印紙税、登記関係費用、住宅ローン関係費用等、自分に発生する売却費用をまとめます。
- 税金を確認する:売却に伴う税金が発生する場合は最終手取りから差し引きます。未確認なら0円にせず、いったん税金を除く概算までにします。
売り出し価格と成約価格の違いを確認したい場合は、売り出し価格と成約価格の違いも参考にしてください。
| 項目 | 確認する数字 | 主な確認先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 売却価格 | 想定成約価格 | 査定結果・販売状況等 | 売り出し価格と同じとは限らない |
| 住宅ローン | 残債・全額返済に必要な金額 | 金融機関 | 最新の金額を確認する |
| 売却費用 | 自分に発生する費用 | 不動産会社・金融機関・司法書士等 | 発生項目は売主ごとに異なる |
| 税金 | 発生の有無・概算額 | 国税庁・税務署・税理士等 | 売却価格だけでは決まらない |
4,000万円で売れても手取りは人によって違う
次は説明用の架空例です。売却費用150万円は計算例のための仮定であり、一般的な標準額ではありません。
| 項目 | A:ローン残債あり | B:ローンなし |
|---|---|---|
| 売却価格 | 4,000万円 | 4,000万円 |
| 住宅ローン残債 | 1,800万円 | 0円 |
| 売却費用 | 150万円(仮定) | 150万円(仮定) |
| 税金 | 未確認 | 未確認 |
| 税金を除く概算 | 2,050万円 | 3,850万円 |
| 最終手取り | 税金確認後 | 税金確認後 |
Aは4,000万円-1,800万円-150万円=2,050万円、Bは4,000万円-150万円=3,850万円です。同じ売却価格でも、住宅ローン残債によって手元に残る金額は大きく変わります。税金が未確認なら、この2,050万円や3,850万円をそのまま全額使える資金とは確定しません。
売却前は3つ程度の価格で試算する
まだ売れていない段階では、成約価格は確定していません。たとえば4,200万円・4,000万円・3,800万円のように複数の想定成約価格を置き、それぞれで手取りを試算します。売却価格に応じて変わる費用がある場合は、各ケースで費用も計算し直します。
自分で使える手取り試算シート
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 想定売却価格 | 万円 |
| 住宅ローン残債 | ▲ 万円 |
| 仲介手数料等の売却費用 | ▲ 万円 |
| その他確認済み費用 | ▲ 万円 |
| 税金見込み | ▲ 万円/未確認 |
| 契約上の精算金等 | 必要なら+/- |
| 手取り概算 | 万円 |
税金が未確認の場合、結果は「現時点では税金を除く概算」とします。固定資産税等、管理費・修繕積立金等について契約上の精算金がある場合は、実際の受取額に加減されることがあります。
決済日の入金額だけで最終手取りを判断しない
売却代金、手付金、住宅ローン返済、売却費用、税金は、同じ日にすべて動くとは限りません。たとえば売却価格4,000万円のうち手付金200万円をすでに受け取り、決済時に残代金3,800万円を受け取るなら、手付金は売却価格の一部です。4,000万円+200万円=4,200万円とは計算しません。
決済日に口座へ入る金額ではなく、売却全体を通して最終的にいくら残るかで資金計画を考えます。
「マンションを売ったらいくら残る?」判断フロー
想定成約価格を決める
↓
住宅ローン残債を差し引く
↓
売却費用を差し引く
↓
ここまで=税金を除く手取り概算
↓
売却に伴う税金を確認
↓
確認済み → 税額を差し引いて最終手取りを概算
未確認 → 「税金未確認」として最終手取りは確定しない
↓
複数の想定成約価格で再試算
↓
資金計画へ使う
まず4つの数字を確認する
- 想定する売却価格
- 最新の住宅ローン残債
- 売却費用の見込み
- 売却に伴う税金の見込み
売却前は、いずれも概算を含みます。必要資金から売却価格を逆算して決めるのではなく、市場で想定できる売却価格から手取りを試算し、その金額で必要資金を満たせるか確認する順序にします。
不動産会社・金融機関等へ確認する質問
| 質問 | 主な確認先 |
|---|---|
| この想定売却価格の場合、売却費用はいくら見込めますか? | 不動産会社 |
| 決済までに売主が支払う予定の費用を一覧で確認できますか? | 不動産会社 |
| 決済日に全額返済する場合、いくら必要ですか? | 金融機関 |
| 固定資産税等の契約上の精算はありますか? | 不動産会社 |
| 売却に伴う税金を確認するには、どの資料を準備すればよいですか? | 税務署・税理士等 |
手取り額を計算する前のチェックリスト
- □ 売り出し価格をそのまま確定売却価格としていない
- □ 想定成約価格で試算している
- □ 最新の住宅ローン残債を確認した
- □ 自分に発生する売却費用を確認した
- □ 税金が発生する可能性を確認した
- □ 税額不明なのに0円としていない
- □ 購入時の価格を手取りから直接差し引いていない
- □ 手付金の二重計上や、決済日の入金額だけでの判断をしていない
売却後の資金計画は「いくらで売れるか」だけでなく、「最終的にいくら使えるか」で考えることが重要です。4つの数字を集め、税金が未確認なら未確認のまま分けておき、複数の想定成約価格で手取りを試算してください。
参考資料
- 国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
- 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会『令和8年版 不動産の税金これだけガイド』
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社