マンション売却は何から始める?査定~引き渡しまで全体の流れ
- 2026.08.25
- マンション売却の基本
マンション売却は、売る方向で考え始めたあと、相場確認→査定→不動産会社比較→媒介契約→販売活動→購入申込・条件調整→売買契約→決済→引き渡しの順に進むのが基本です。ただし、まだ査定前の人と、すでに販売中の人、売買契約を結んだ人では、次にすることが違います。すべての手続きを覚えるより、自分がいまどこにいて、そこで何を見て、次に何を決めるのかをつかんでおくことが大切です。
売却の各段階で、手続きだけでなく「売主が決めること」まで一緒に見ると、自分の現在地と、その先に必要な行動がわかりやすくなります。
| 段階 | 何をする | 売主が決めること |
|---|---|---|
| 1. 売却を考える | 売却理由、希望時期、売却後の予定を考える | 売る方向で具体的に進めるか |
| 2. 相場を確認する | 周辺や類似マンションから、おおよその価格帯をつかむ | 現在の相場を踏まえて売却を進めるか |
| 3. 査定を受ける | 不動産会社へ査定を依頼し、査定価格と根拠を聞く | 査定内容を踏まえて売却へ進むか |
| 4. 不動産会社を比較する | 査定根拠、販売方針、実績、説明内容などを比べる | どの会社へ売却を依頼するか |
| 5. 媒介契約を結ぶ | 仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ | 依頼先と媒介契約の種類を決める |
| 6. 販売活動を行う | 売り出し価格を決め、広告、問い合わせ対応、内覧などを進める | 販売状況に応じて価格や条件を見直すか |
| 7. 購入申込・条件調整 | 購入希望者からの申込内容と価格、引き渡し時期などを見る | 申込を受けるか、条件を調整するか |
| 8. 売買契約を結ぶ | 売買価格、支払方法、引き渡し時期、手付金などの契約条件を確かめる | 最終条件に合意して契約するか |
| 9. 決済する | 残代金を受け取り、ローン完済や登記に必要な手続きを進める | 契約条件どおり決済できる状態か |
| 10. 引き渡す | 鍵などを買主へ渡し、マンションを引き渡す | 引き渡し条件をすべて満たしたか |
売却の流れは「何をするか」と「何を決めるか」で見る
マンション売却では、不動産会社が進める手続きと、売主自身が決めなければならないことが並行して進みます。工程名だけを追うよりも、「この段階では何を見るのか」「何が決まれば次へ進めるのか」を意識したほうが、途中で迷いにくくなります。
売却検討→相場確認:まず売る方向と価格帯をつかむ
スタートは査定依頼ではありません。売る方向で考え始めたら、いつごろまでに売りたいのか、売却後はどうするのかなど、今後の予定を大まかに考えます。そのうえで、所有するマンションが現在どの程度の価格帯にあるのかを見ておきます。
ここで求めるのは、正確な成約価格を自分で計算することではありません。周辺や類似マンションの情報から大まかな相場を知っておけば、その後に提示される査定価格を比べるための基準を持てます。具体的な調べ方が必要な場合は、マンションの相場を自分で調べる方法を確認できます。
査定→不動産会社比較:価格だけで依頼先を決めない
査定を受ける目的は、高い数字を出す会社を探すことではありません。不動産会社が「いくらくらいで売れそうか」をどのような根拠で考えているのかを知り、その内容に納得できるかを見るための段階です。査定方法を選ぶ必要がある場合は、AI査定・机上査定・訪問査定の違いと使い分けを知っておくと、自分の検討段階に合う方法を選びやすくなります。
査定結果が出たら、金額だけでなく、どの成約事例を使ったのか、どのような販売方法を考えているのか、マンション売却の実績や担当者の説明に納得できるかまで見ます。最も高い査定価格を提示した会社が、その価格で売ってくれるとは限りません。複数社を比べる場合は、査定価格が会社ごとに違う理由と比較するときのポイントを押さえておくと、価格の高低だけで依頼先を選ばずに済みます。
媒介契約→販売活動:依頼先と売り出し方を決める
仲介で売却する場合は、売却を任せる不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があり、依頼できる会社数やREINS(レインズ)への登録などの扱いが異なります。契約方法を選ぶときは、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いを知ったうえで、自分の売却に合うものを選びます。
媒介契約を結んだあとは、査定価格や売却希望を踏まえて売り出し価格を決め、購入希望者を探します。不動産ポータルへの掲載、REINSへの登録、問い合わせ対応、内覧など、実際の売却活動は不動産会社が中心になって進めます。媒介契約の種類によってREINSへの登録義務などの扱いは異なります。
販売が始まったあとは、問い合わせは来ているのか、内覧まで進んでいるのかによって事情が変わります。反応が乏しいからといって、すぐに値下げすればよいわけでもありません。まず販売状況を見たうえで、価格や販売方法を変える必要があるかを考えます。不動産会社が何をしているのか詳しく知りたい場合は、広告や営業報告など販売活動の内容を確認できます。
購入申込→売買契約:申込だけでは契約成立ではない
購入希望者から申込が入ったら、提示された価格だけでなく、引き渡し時期やそのほかの条件も見ます。希望価格より低い申込でも、条件を調整して合意できることがあります。反対に、価格だけで急いで決めると、引き渡し時期などで希望が合わないこともあります。購入申込を受けたあとの条件交渉の考え方も踏まえて、どの条件なら契約へ進めるかを考えます。
購入申込が入っただけで、売買契約が成立するわけではありません。売主と購入希望者が条件を調整し、合意したあとに売買契約へ進みます。売買契約のまえには、宅地建物取引士から買主に対する重要事項説明が行われます。売主は、売買価格、代金の支払方法、引き渡し時期、手付金、そのほかの契約条件を確かめ、最終的にその条件で契約するかを決めます。
売買契約→決済→引き渡し:契約後にも手続きが残る
売買契約を結んだ時点では、マンション売却はまだ終わっていません。契約後は、買主から残代金を受け取る決済と、マンションの引き渡しへ向けた準備が必要です。実際に準備する内容は、売買契約から決済・引き渡しまでの手順で詳しく確認できます。
住宅ローンが残っている場合は、売却代金などでローンを完済し、抵当権抹消に必要な準備も進めます。決済では残代金の授受と所有権移転登記などの手続きを行い、その後に鍵などを買主へ渡します。実務では決済と引き渡しを同日に行うこともありますが、代金や登記を整える決済と、マンションを買主へ渡す引き渡しは役割が異なります。
あなたはいまどの段階?次にすることを決める
売却の途中まで進んでいるなら、最初の段階からやり直す必要はありません。いまの状況に近いところを見つけ、そこから1つ先の段階を考えれば十分です。次の図で、いまの状況に近いところを探すと、その次に見るべき段階がわかります。

たとえば、半年以内を目安にマンションを売りたいものの、まだ査定を受けていないAさんなら、先に見るべきなのは大まかな相場、査定価格、不動産会社の提案です。この段階で媒介契約や内覧対応まで覚えておく必要はありません。
一方、すでに媒介契約を結んで販売中のBさんが見るべきなのは、査定方法ではありません。問い合わせがあるのか、内覧につながっているのか、不動産会社がどのように販売しているのかを見る段階です。購入申込が入れば、その時点で価格や引き渡し条件へ目を移します。
このように、同じマンション売却でも現在位置によって必要な情報は変わります。全体を暗記するのではなく、自分の現在位置から1つ先を見ることが、売却を進めるときの基本です。
仲介以外の売却と引き渡し後に注意すること
ここまで説明したのは、不動産会社の仲介で一般の購入希望者を探す場合の基本的な流れです。不動産会社が直接買主になる買取では、一般の購入希望者を探す販売活動などがなく、進み方が変わります。売却方法そのものを選ぶ段階であれば、仲介と買取の違いと選び方を比べたうえで決めます。
また、マンションを引き渡せば売買の手続きは一区切りしますが、税務上の確認が残る場合があります。売却によって譲渡所得が生じた場合や税制特例を利用する場合などは、確定申告が必要になることがあります。すべてのマンション売却で、必ず確定申告が必要になるわけではありません。売却後は、自分の取引で申告や特例の手続きが必要かを確認します。
まだ売却を依頼する不動産会社を決めておらず、現在の査定価格や各社の提案を比べる段階であれば、複数社へ査定を依頼する方法があります。すでに媒介契約を結んでいる場合や、販売中・売買契約後の場合は、査定へ戻るのではなく、現在の段階に必要なことを優先してください。
参考資料
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」
- 公益財団法人東日本不動産流通機構「媒介契約制度」
- 公益財団法人東日本不動産流通機構「住まいを売りたい」
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- 池田浩一『知りたいことが全部わかる! 不動産の教科書』株式会社ソーテック社
- 山本健司『「全部自分でできる人」になる「不動産の仕事」大全』ソシム株式会社